メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

プロ野球の観客を増やすための「王道」とは?

大坪正則(スポーツ経営学)

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 プロ野球(NPB)が、5月16日に開幕したセ・リーグとパ・リーグの交流戦の前に、今シーズンの現時点での観客動員数を公表した。幸い、2011年と主催開催数が同じだから、昨年比が分かりやすい。それによると、1試合平均の観客数は、セが2.4%減少の2万6041人、パは6.3%減少の2万843人だった。

 2011年は東日本大震災があり、誰もが観客動員低下を当然視したが、通常に戻った今年も前年比減だったことから、関係者には戸惑いがあるようだ。このまま観客動員が推移すると2010年から3年連続して年間観客動員数が前年比で減少することになるからだ。

 もちろん、今シーズンは開幕から1ヶ月半しか経っていない。今の数字で今年を展望することは早計かも知れない。だが、メディアの中には動員力低下を懸念する声もある。読者の皆さんも今年のプロ野球は「どうなるだろう」と心配されているのではないだろうか。

 確かに、NPBを取り巻く経済環境は決して良いとは言えない。

 第一は景気低迷。スポーツが産業革命の間に生まれて、経済発展に伴い大きく飛躍したことでも分かるように、「お金と時間」に余裕がなければスポーツを「見る」ことに力が入らない。観客の主流である一般的サラリーマンが、残業が増える一方で年収がさほど増えない現状下では、観客動員の面でマイナスに作用することは避けられない。

 第二は若者の野球離れ。私の授業を受ける学生がベストのサンプルとは言い切れないが、彼らの関心が年々NPBから遠ざかっているのは事実だ。欧州のサッカーの授業に比べるとNPBと同列の米国系プロリーグの受講履修生の数は圧倒的に少ない。彼らの興味はサッカーの選手にある。特に、海外の超一流選手と欧州リーグで活躍する日本人。その分、野球に対する興味が薄れているのだろう。

 第三は「華」となる選手の不在。イチロー、松井秀喜、松坂大輔、ダルビッシュ有など「華」となる選手が米国に渡り、誰もが注目する選手がいなくなった。ごくふつうのファンが、各チームのエース投手と四番打者を何人言えるだろうか。なかなか思い出せないのではないだろうか。これが現実と思えば、観客動員力の低下も納得できる。

 第四は読売ジャイアンツ(巨人)の人事的混乱。NPBの盟主と自他ともに認める巨人が引き起こす混乱は、決してNPB全体の利益になっていない。最近の学生は潔癖症が多いのかも知れないが、彼らは巨人が起こすような騒動を胡散臭いとして好まない。ファンが心地良いと感じる環境が醸成されていないようだ。

 とはいえ、悲観的材料ばかりではない。

・・・ログインして読む
(残り:約1882文字/本文:約2956文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

大坪正則の記事

もっと見る