大坪正則(スポーツ経営学)
2012年06月05日
営業区域は関東に限定されるが、東電の影響力は全国区だ。ローカルキングを超え、絶大な権力を行使するナショナルキングだ。そのためかも知れないが、東電の経営者はやや傲慢に映ってしまう。
現に、彼らが政界や財界はもちろんのこと、経済産業省やマスコミも味方に引き入れる力を有しているのは明白だ。福島原子力発電所で事故を起こし、普通の企業ならば倒産・解散の憂き目に会ってもおかしくないのに、銀行や株主などのステークホルダーの損出を最小限に留める一方、会社存続を前提に救済(税金投入)する方向に国を持っていく彼らの手腕は驚きに値する。
そして今回、東電の労働組合も桁外れの力を保有していることに唖然とさせられた。結局、東電の場合、経営者と労働組合は同じ穴のむじなだったのだ。
荒井委員長は福島原発の事故現場を一度でも訪れたことがあるのだろうか。また、原発事故で避難を余儀なくされた人々の仮住まいに行って、謝罪したことがあるのだろうか。東電に不法行為はなかったと言い切っているので、恐らく、事故現場や仮設住宅を訪ねたことがないのではなかろうか。
プロスポーツ界にも経営者と労働組合(選手会)が肝心のファンの存在を無視してお金の分配で争った歴史がある。
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