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東電はスポーツファンの目線を知るべし

大坪正則(スポーツ経営学)

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 5月29日、東京電力労働組合の荒井行夫・中央執行委員長が、「裏切った(脱原発をかかげる)民主党議員には報いを被ってもらう」と発言した。民主党支持団体トップの物言いに、野田佳彦首相とその政権が動揺したのかどうか分からないが、翌日の30日から、関西電力大飯原発の再稼働に向かって政府と関西広域連合が急に動きが早くなり始めたように思う。荒井氏の不満表明が関係先に少なからぬ影響を及ぼしたと推察できる。

 営業区域は関東に限定されるが、東電の影響力は全国区だ。ローカルキングを超え、絶大な権力を行使するナショナルキングだ。そのためかも知れないが、東電の経営者はやや傲慢に映ってしまう。

拡大大飯原発3、4号機の再稼働に反対して集まった人たち=2012年6月3日、福井市中央公園

 現に、彼らが政界や財界はもちろんのこと、経済産業省やマスコミも味方に引き入れる力を有しているのは明白だ。福島原子力発電所で事故を起こし、普通の企業ならば倒産・解散の憂き目に会ってもおかしくないのに、銀行や株主などのステークホルダーの損出を最小限に留める一方、会社存続を前提に救済(税金投入)する方向に国を持っていく彼らの手腕は驚きに値する。

 そして今回、東電の労働組合も桁外れの力を保有していることに唖然とさせられた。結局、東電の場合、経営者と労働組合は同じ穴のむじなだったのだ。

 荒井委員長は福島原発の事故現場を一度でも訪れたことがあるのだろうか。また、原発事故で避難を余儀なくされた人々の仮住まいに行って、謝罪したことがあるのだろうか。東電に不法行為はなかったと言い切っているので、恐らく、事故現場や仮設住宅を訪ねたことがないのではなかろうか。

 プロスポーツ界にも経営者と労働組合(選手会)が肝心のファンの存在を無視してお金の分配で争った歴史がある。

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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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