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阪神タイガースの弱点「親会社」が実行すべき二つの強化策

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 阪神タイガースは不思議な球団だ。その弱点は球団にではなく、親会社の阪神電鉄にある。その悪しき伝統に阪急電鉄の首脳も感化されたようだ。このところ、タイガースがなぜ3位争いに甘んじているのか、親会社の視点から考察したい。

 タイガースの親会社は日本のプロ野球の揺籃期を含め、阪神電鉄だった。電鉄の営業距離は大阪・梅田と神戸・三宮の間の約42キロメートル。フルマラソンの距離とほぼ同じだ。阪神電鉄は営業区間が短いので、実は弱小の鉄道会社だが、ブランド力は業界トップクラスで、タイガースに全面的に依存してきたのだ。

 そのためかどうか分からないが、電鉄首脳陣の脇は甘く、いとも簡単に村上ファンドの株買い占めに屈してしまい、結果的に、関西圏の競合会社だった阪急電鉄に吸収併合されてしまった。もしもタイガースが子会社でなければ、「阪神」の名前は統合と共に消えてしまったに違いない。

 有価証券報告書によれば、阪神電鉄はスポーツ業の下に、タイガースのほか、甲子園球場の管理と売店委託を司る二つの会社、計三つの子会社を傘下に置いていた。3社の合計売り上げは約280億円。報告書にはそれ以上の記載はないが、仄聞するところによると、約300万人の観客を誇るタイガース単独の売り上げが約180億円、利益は4億円程度だそうだ。親会社からの赤字補填または経済的援助(スポンサー料)を受けるのが当たり前と化している球界にあって、タイガースは読売ジャイアンツと共に、親会社から経済的支援を一切受けていない球団として知られている。

 しかし、球団経営に明るい人ならば、選手年俸総額が約50億円(日本人選手が約40億円+外国人選手約10億円)程度にもかかわらず、180億円の売り上げに対して利益が4億円に過ぎないということは理解し難いに違いない。

 通常、選手年俸総額は球団支出の50~60%を占める。これからすると、タイガースの場合、支出の総額が約100億円だとすれば、約80億円の利益を計上してもおかしくない。

 そうだとすると、タイガースの利益は電鉄内部に戻っていたのではないか、と疑わざるを得ない。しかも、売り上げの180億円には甲子園

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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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