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五輪出場のカギは協会の資金力――なぜ日本の団体競技はダメなのか? 

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 2012年ロンドン五輪の日本の出場選手が確定した。選手がそろったころにメディアを中心に繰り返し俎上に載る案件がある。

 それは五輪出場を逸した団体競技の育成と強化策だ。今回も話題になっている。特に、男子はサッカーを除いて全滅。出場が確実だった野球が五輪種目から外れたことが男子団体競技の弱体ぶりをより一層曝け出すことになった。そこで「プロ化」を進めるべきだとの意見が出ている。

 プロ化はもっともな話だ。ところが、プロ化はそう簡単に進まない。消費税増税を主張する野田佳彦首相のように、一点集中、周りが何と言おうと、また反対者が半数を超えようが構わず、がむしゃらに押し進めるリーダーが存在しない限り、実現は不可能に近い。

 具体的に言うと、各競技の協会がある岸記念体育館の中に、プロ化のためには、組織の分裂を意に介せず、また長年の友人を失うことにも躊躇しないだけの肝の据わった人物がいるのだろうか。いないから問題になっているのではないだろうか。

 バスケットボール協会が典型的な例だ。男子のバスケットボール日本代表は1976年のモントリオール大会を最後に五輪出場を果していない。36年もの間、協会は何をしていたのだろう? 協会の役員が普通の神経の持ち主ならば、五輪を逸する度に恥ずかしくて辞任するだろうが、そんな話はほとんど聞かない。

 派閥抗争をしても、五輪で責任をとることはないのだ。36年の間、五輪出場にはプロ化が不可欠と唱えるグループとプロ化時期尚早派が対立し、協会トップが右往左往している間に協会から離れてプロ組織を組成したのがbjリーグだ。これが8年前の出来事だった。

 しかし、bjリーグのチームの選手年俸が、プロ化に消極的な協会側の実業団チームよりも劣るために、bjの選手を中心に構成する代表チームを作るに至っていない。もっとも、bjと実業団が融合したからといって、五輪出場が約束されたわけではない。代表チームがアジア予選を勝ち抜かなければならない条件は変わらないし、いかなる場合も選手強化とコーチ陣編成に必要な資金捻出は避けて通れない。わかっているのにできない。何故だろう。

 資金調達力が弱いのはバスケットボール協会だけではない。

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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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