2012年07月26日
大会のスポンサー収入のうち日本企業のスポンサー料が7割を占めているというが、残念なことに、NPB選手会はその正確な経済的根拠は明らかにしていない。推察するに、NPB選手会とその弁護士たちはWBC関連ビジネスの本質を十分に理解していないようだ。感情に任せて決断を下したと思えて仕方がない。
これから開催直前まで、米国メジャーリーグ(MLB)とその選手会(MLBPA)からなる米国側と日本野球機構(NPB)とNPB選手会からなる日本側は、参加条件の交渉を続けることになるだろう。
そもそもWBCはMLBとMLB選手会の共同事業として誕生した。その背景は、今では信じられないことだが、MLBの貧窮にあった。
1994年のMLB選手会によるストライキは、史上初めてワールド・シリーズを中止させ、野球ファンにすれば「億万長者」と「百万長者」の争いと揶揄されるほど醜い金銭分配闘争だった。そのため、ストライキ終了後に未曽有のMLB離れが起きた。
それはファンに愛想を尽かれたばかりではなかった。テレビ局が放送権の契約をせず、ライセンシーもMLBとの契約に躊躇した。1995年のMLBの財務内容は最悪な状態に陥った。
そこで、MLB史上初めて、MLBとMLB選手会が手を組み、共同事業を展開することになり、合意したのがWBCなのだ。当然、WBCの主催者はMLBとMLB選手会になる。
プロスポーツの世界では、権利の現金化と配分の決まった手法は存在しない。従って、WBCと国際オリンピック委員会(IOC)及び国際サッカー連盟(FIFA)の手法が異なっても、米国側が批判を受ける筋合いのものではない。
日本側がWBCの分配方式について「IOCやFIFAと同じ方式にしないのはおかしい」と言ったところで、最終判断は米国側がおこなう。このルールを米国側は第3回WBCにも適用することを決めており、これを覆すことは絶望的である。
米国側は、WBCの組織とビジネス形態を形作るときに、世界最古のプロリーグである野球のナショナル・リーグ(NL)を真似た。この仕組みはMLBに引き継がれて現在に至っているので、当然のことと言える。
NFは組織を経営者(=オーナー)と選手(=労働者)に二分し、経営者が事業の全リスクを負う一方で、選手を経営者の仲間に入れずに契約を結んで拘束することにした。WBCでも同様に、米国側が経営者、各国の代表チームは選手という構図になる。このルールに従って、事業リスクを負う米国側が収益(収入から支出を差し引いた差)の66%を取り、残り34%を日本側を含む15カ国が分け合うこととなっている。
ここで、日米間の最大の争点である日本側受け取りの13%が妥当か否か、ということになるが、
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