メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

次回五輪の「金」メダル獲得には、個人戦よりも団体戦に活路を

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 日本がロンドン五輪で獲得したメダルは、金が7個、銀が14個、銅が17個、合計38個。過去最高のメダル獲得数はアテネ大会の37個だったので、史上最多を達成したことになる。ご同慶の至りだ。

 今大会の特徴は、「銅」が多いこと、史上初めてメダルを得た競技種目が多いこと、女子の頑張りが目立ったこと、そして個人よりも団体種目でメダルを稼いだことだ。JOC(日本オリンピック委員会)と文部科学省が掲げる「夏の大会で金メダル獲得世界5位以内」の目標にはまだ遠い道のりだが、次のリオデジャネイロで、銅を銀に、銀を金に変えることを期待したい。

拡大女子バレーボールで、銅メダルを獲得した日本の選手たち

 メダルを得た競技種目が増えた背景には「ゆとりの学習」の良い面が出たと私は推察している。ゆとりの学習は記憶の詰め込みから離れて子どもたちが持つ色々な才能を伸ばすことを目的としていた。いわゆる、秀でた一芸を育てることだった。

 少子化とあいまって経済的に余裕のある保護者がスポーツの好きな子供を熱心にクラブやジムに通わせた。また、大学もスポーツを得意とする学生を積極的に推薦枠で拾い上げた。かかる環境がスポーツが大好きな子供や学生の才能を世界レベルまで開花させたと考えられる。

 日頃から学生と接しているので分かることだが、今の若者は「俺が! 俺が!」と目立つような振る舞いをしない。「賛成なら手を挙げろ」と言っても、胸の前で小さく挙げることが彼らの意思表示。全てに控えめなのだ。

 スポーツでも同じだ。サッカーを見ているとよく分かる。チャンスなのにゴールを狙わず、パスするのが典型的な例だ。失敗して後で文句を言われるのを嫌がっているようにすら見える。

 彼らのもう一つの共通項は「諦め」が早いことだ。それは期末の試験で如実に現れる。私は試験途中での退席を許さないが、彼らは少し難しい問題だと早々に諦めて寝てしまう。また、答案に誤字・脱字が多いのは、見直す習慣が無いせいかも知れないが、最後の粘りが欠けていることも要因のようだ。

 五輪を見ていると、金と銀の力の差が紙一重だった種目が多いことにも気付く。1対1の勝負では、力ではなく「勝ちたい」という気持ちを強く持つ「根性」が優勝を招くようだ。

 日本勢に金メダルが少ないのは、

・・・ログインして読む
(残り:約745文字/本文:約1665文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

大坪正則の記事

もっと見る