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アマチュア競技の夢を一瞬見た、この五輪

倉沢鉄也

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 ロンドン五輪が12日で閉幕した。26競技302種目の総括、という観点は、すでに一部報道もされているとおり、別々の会場、別々の日程で行われている現地の雰囲気において把握することは、報道記者においてすら不可能だという。

 そうした意味での真の総括は、閉会式およびその後の報道発表におけるIOC(会長ロゲ氏)の公式声明にあり、そこで語られることは過去の声明と大きく変わらないものの、グローバルなスポーツに対してどう取り組む必要があるのかを示した貴重な観点だと言える。

 ロンドン五輪でのスピーチよりも多くの論点を含んだ北京五輪閉会式を例にとれば、「開催に尽力したスタッフとくにボランティアへの感謝」「開催地国民への感謝、新世代旧世代の活躍への驚きと喜び」「その勝ちと負けに対する共感と尊敬」「選手およびスポーツイベントが持つ社会的影響力」、そして「政治的に対立する国同士での対戦が平和裏に行われることの意義」を述べている。

 もちろん五輪をめぐるダークな争いごとは多様に存在しているが、これらの論点をクリアできなければいかなる争いごとも徒労に終わる。「水面下の争い、金儲け」も含めて、五輪の意義を支えていると解釈したほうが、健全だ。こうした平和の祭典の意義に立ち返る眼差しは、主催者や年増の観客の目線だけではなく、出場選手自身が実感することでもあると、元・陸上選手の為末大氏も述べている(8月14日日刊スポーツより)。

 一方、日本代表の成績を総括する責任はJOCと各スポーツの協会組織にあり、彼らから五輪の意義に基づく総括が語られることは、まずない。前述の為末氏が述べているように、彼らは国家代理戦争の主体という認識と思われ、勝敗以上の意義はないのかもしれない。

 JOCと各スポーツの協会組織は、メダルの総数について4年前との比較が行われ、国費も含めた投下予算との費用対効果を問われ、負ければ予算減の責任をとって辞めろ、となる。この資金の問題は、観戦マーケットにおいてマイナーな競技ほど選手の強化・派遣に直結しており、競技が世界的にもマイナーであるがゆえにメダル獲得の可能性を広げるものとなる、という点が多くの関係者を悩ませることになる。

 メダルの数で協会組織の評価が決まるのなら、メダルの対象である「種目数」が多く、競技人口の少ない競技を強化すればいいという視野の狭い考え方もあり、たとえば冬季競技の「ノルディック複合団体男子」のように、実際に金メダルを獲得した競技もある。しかしそうした競技の性質として、体重や種類によって細分化された種目は大規模な観衆を集められないがゆえにマイナースポーツであり続けている、という側面もある。

 集客による商業的成功が各スポーツ共通のゴールではないが、

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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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