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[24]3季連続決勝で敗れた光星学院と優勝できない東北勢のせつなさ

神田憲行 ノンフィクションライター

 決勝戦で負けたチームの宿舎はせつない。

 優勝校の宿舎は報道陣で溢れかえり、テレビキャスターも訪れ、優勝旗を前にガッツポーズの記念撮影が賑やかに行われる。

 だが準優勝校は、さすがに選手も落ち着いて笑顔を見せているが、報道陣が少ない。準優勝の記念盾を前にした記念撮影も簡単に終わる。

 去年の夏から3季連続で決勝戦に進出しながら、なぜ「あとひとつ」が勝てないのだろう。光星学院・仲井宗基監督へのインタビューはそんな質問から始まった。囲んでいる記者は私ともう一人だけだった。

――なんで決勝で勝てないんですかね。

「うーん、決勝の相手は、やっぱり準決勝までの相手とチーム力が違うんですよ」

――準々決勝と準決勝のレベルよりも、準決勝と決勝のレベルの差がある?

「ありますね。監督という立場を離れて第三者的に見ると、今年の大阪桐蔭はレベルが違いました」

 昨年はエースの疲労がたまり、決勝戦では日大三に打ち込まれて0-11と大敗した。今年のセンバツでは、大阪桐蔭の藤浪晋太郎投手から12安打を放ちながら、長打力で負けた。

拡大閉会式を終え、グラウンドを引き揚げる光星学院の仲井宗基監督

 しかし今夏、複数の投手を準備して、エースは1日休みを与えて休養十分、3番田村龍弘、4番北條史也で計6本塁打と、長打力も付けてきた。それでも敗れた。

――優勝するためには、あとなにが足りないのでしょうか?

「普段の練習の中味でしょうか……大阪桐蔭さんはレベルの高い相手にとり囲まれて、日常的に厳しい戦いを強いられている。だから普段でも、選手が自覚してそういう強敵を想定した練習をする。うちはそうじゃない。いくら口で『大阪桐蔭を目指せ』といっても、身近に本当にレベルの高いチームがいないと、練習にも限界があるんです」

――しかし東北も、聖光学院(福島)など、甲子園に出れば優勝候補になる学校がいくつもあるじゃないですか。

「でも結局、どこも『候補』というだけで、優勝してないでしょ。そういうことなんです」

――その穴を埋めるためには、どうすればいいのでしょうか?

「うーん、指導者がどれだけ高い意識を持てるかということになるんですが、高校野球は毎年選手が入れ替わりますからね。監督だけが先走りしても選手が付いてこなければ意味がありません」

 そして、近くにいた主将の田村に聞こえないように配慮したのか、仲井監督の声が小さくなった。

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筆者

神田憲行

神田憲行(かんだ・のりゆき) ノンフィクションライター

1963年、大阪生まれ。ノンフィクション・ライター。夏の甲子園取材は今年で19年連続20回目。著書に『横浜vs.PL学園』(共著、朝日文庫)など。守備の巧いショートと三つ目のストライクを内角高めに持ってくる投手が好き。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです