川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞記者
朝日新聞記者。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを歴任。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
調査したのは情報拡散ルート研究会。発案したのは、ライブメディアコーディネーターをしている株式会社ヒマナイヌ(東京都千代田区)の川井拓也さんだった。6月22日の金曜日、テレビ朝日「報道ステーション」が官邸前デモを取り上げた際、「デモに参加する“普通の人々” ツイッターで広がる『うねり』」と伝えていたのを見た。この報道が本当なのかを確認したい、と思い立った。
翌週のデモ当日の29日午前2時ごろ、川井さんはツイッターで「明日のデモでさ、列の前から後ろに向けて何で知ってこの参加してるの?ってアンケートやってくれる人いないかな??」とつぶやいた。テレビでサッカーの欧州選手権(ユーロ2012)を見るため起きていたフリーライター石川れい子さんが、ツイッターに気づいた。同じ疑問を持っていたことから、川井さんの調査に協力を申し出た。
「このデモをどこで知って参加したか」を9つの回答項目に分け現場でアンケートすることにした。9項目は「団体からの告知」「Web」「(ケータイ)メール」「人づて」「Twitter」「BLOG」「LINE」「facebook」「テレビ」。
石川さんら集計にあたったのは4人。午後5時半から7時半の間に、デモ参加者に該当する回答項目に丸い小さなシールをボードに貼ってもらう面接形式で調査した。想定した項目以外の回答もあり、1217人から聞いた。
7月6日には映像・ウェブ制作会社役員の栗原大介さんも加わり4班計9人が集計。「参加は初めてですか」「この抗議行動のことはどうやって知りましたか」の2点について491人から聞いた。
1回目、2回目の情報入手ルートの結果はそれぞれ次のようだった。
Twitter37%、39%▽人づて18%、17%▽Web20%、12%▽facebook10%、7%▽TV4%、7%▽団体告知3%、6%▽新聞2%、6%▽その他(メール、ブログ、ラジオなど)6%、6%。
7月6日調査では、参加が「初めて」(257人)は「2回目以上」(234人)を上回り、リピーターがあまり多くないことを示していた。
TVと新聞を情報源とした人は、「初参加」で約20%に達したのに比べ「経験者」では4%にとどまった。一方、Twitterを情報源とする人は「経験者」56%に対し「初参加」24%だった。
ツイッターを通じて官邸前デモを知った人が最も多かった理由について、川井さんは「ツイッターでは自分の考えに近い人をフォローすることが多い。ツイッターのタイムラインで官邸前デモの告知が目に入ってきたのでは」と、脱原発を支持する人の間でデモ情報広がっていったと分析する。
1回目の調査で参加者に直に接した石川さんは、デモ参加者の印象について、「年齢については調査していないが、30代ぐらいの人も目立った一方で、予想していたより年代が上だった。ただ、50代後半や60、70代のような人もツイッターや
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