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脱原発デモに見るツイッターの伝播力

川本裕司 朝日新聞社会部記者

毎週金曜日の夕方6時から東京・永田町の官邸前で繰り広げられる脱原発を訴えるデモの人並みは衰えを知らない。年代にも職業にも幅がある抗議行動の参加者は、どういう経緯で官邸前に来るようになったのだろうか。調査して明らかになったのは、ツイッターの強い伝播力だった。

 調査したのは情報拡散ルート研究会。発案したのは、ライブメディアコーディネーターをしている株式会社ヒマナイヌ(東京都千代田区)の川井拓也さんだった。6月22日の金曜日、テレビ朝日「報道ステーション」が官邸前デモを取り上げた際、「デモに参加する“普通の人々” ツイッターで広がる『うねり』」と伝えていたのを見た。この報道が本当なのかを確認したい、と思い立った。

 翌週のデモ当日の29日午前2時ごろ、川井さんはツイッターで「明日のデモでさ、列の前から後ろに向けて何で知ってこの参加してるの?ってアンケートやってくれる人いないかな??」とつぶやいた。テレビでサッカーの欧州選手権(ユーロ2012)を見るため起きていたフリーライター石川れい子さんが、ツイッターに気づいた。同じ疑問を持っていたことから、川井さんの調査に協力を申し出た。

 「このデモをどこで知って参加したか」を9つの回答項目に分け現場でアンケートすることにした。9項目は「団体からの告知」「Web」「(ケータイ)メール」「人づて」「Twitter」「BLOG」「LINE」「facebook」「テレビ」。

 石川さんら集計にあたったのは4人。午後5時半から7時半の間に、デモ参加者に該当する回答項目に丸い小さなシールをボードに貼ってもらう面接形式で調査した。想定した項目以外の回答もあり、1217人から聞いた。

 7月6日には映像・ウェブ制作会社役員の栗原大介さんも加わり4班計9人が集計。「参加は初めてですか」「この抗議行動のことはどうやって知りましたか」の2点について491人から聞いた。

 1回目、2回目の情報入手ルートの結果はそれぞれ次のようだった。

 Twitter37%、39%▽人づて18%、17%▽Web20%、12%▽facebook10%、7%▽TV4%、7%▽団体告知3%、6%▽新聞2%、6%▽その他(メール、ブログ、ラジオなど)6%、6%。

 7月6日調査では、参加が「初めて」(257人)は「2回目以上」(234人)を上回り、リピーターがあまり多くないことを示していた。

 TVと新聞を情報源とした人は、「初参加」で約20%に達したのに比べ「経験者」では4%にとどまった。一方、Twitterを情報源とする人は「経験者」56%に対し「初参加」24%だった。

 ツイッターを通じて官邸前デモを知った人が最も多かった理由について、川井さんは「ツイッターでは自分の考えに近い人をフォローすることが多い。ツイッターのタイムラインで官邸前デモの告知が目に入ってきたのでは」と、脱原発を支持する人の間でデモ情報広がっていったと分析する。

 1回目の調査で参加者に直に接した石川さんは、デモ参加者の印象について、「年齢については調査していないが、30代ぐらいの人も目立った一方で、予想していたより年代が上だった。ただ、50代後半や60、70代のような人もツイッターや

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを経て、19年5月から大阪社会部。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

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