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プロ野球の加藤良三コミッショナーは何をしているのだろうか?

大坪正則 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

 米国メジャーリーグ(MLB)は10月5日からプレーオフに入った。初戦は各リーグのワイルドカード2チームによる1試合勝ち抜き戦だった。

 この制度は今季から導入された。当初、1試合制は少し変だなと思ったが、実際に実施されると、なるほどバド・セリグコミッショナーの評価が高いのはこんなアイデアを出すからだな、と納得させられた。

 この制度は1試合で明暗がはっきり分かれるので、対戦する2チームは、プレーオフ進出が決定すると一気に臨戦態勢になる。そしてMLBファンは、レギュラーシーズンからプレーオフへのギアチェンジを実感することになる。5回戦制(3勝勝ち抜き)の地区シリーズ終了後、ワールドシリーズまでどのような戦いになるのか予想がつかないが、ワイルドカードの1試合がMLBファンを一点に集中させる最高の仕組みであったことは間違いない。

拡大WBC日本代表監督に就任した山本浩二氏(中央)と会見に出席した加藤良三コミッショナー(左)。右は王貞治特別顧問=2012年1月10日

 一方の日本のプロ野球(NPB)だが、加藤良三コミッショナーがワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の山本浩二日本代表監督のお披露目の記者会見に同席していた。久しぶりにメディアの前に出た加藤氏を見たが、MLBのセリグ氏に比して影が薄い。

 読売ジャイアンツ(巨人)の清武英利元球団代表の渡辺恒雄会長批判、巨人の新人選手に対する契約金超過払い問題、そして巨人の原監督の1億円支払い相手の暴力団関係疑惑など、2011年末から今年にかけて不祥事、または不祥事まがいの出来事があったが、加藤氏が前面に出て問題解決または事件の鎮静化に向けて動くことはなかった。

 また、メディアの前でNPBとしての対処策や方針を語ることもほとんどなかった。しかも、たまにメディアの前に出ても説得力に乏しく、存在感を感じることもなかった。

 2008年の就任以来、加藤コミッショナーは何事に対しても消極的対応だった。そして、それには二つの理由があったような気がする。

 一つ目は外交官としての気質。彼の性格もあるかも知れないが、元外交官としての職業気質が彼を前面に押し出すことを躊躇させたと思われる。丹羽宇一郎中国大使の更迭が良い例だ。彼の東京都知事の尖閣諸島に対する警告は民間人の発想からすれば常識的であり発言のタイミングもよかったが、外交官としては不適切だと外務省及び首相官邸は判断した。外交官はどんな状況でも発言を控えるべきなのだろう。

 二つ目は

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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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