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週刊朝日の大型連載打ち切りで見えてきた深刻な問題点の数々

久田将義

久田将義 TABLO編集長

 週刊朝日を揺るがした、というより週刊誌史上特筆すべき「事件」の一つと言ってもいいかもしないのが佐野眞一氏の大型連載「ハシシタ 奴の本性」の打ち切りである。この問題をまさか「WEBRONZA」で論じる機会はないと思っていたので、原稿を依頼された際、少し驚いたのとあえて論考するという「WEBRONZA」編集部の姿勢にまず敬意を表します。

 この連載が始まった時の僕の第一印象は「大丈夫か?」である。記事の内容はとにかく人格否定以外を書くつもりはない、という意味の事を佐野氏は書いている。原稿自体に「救い」がないのだ。

 そして表紙に大きくタイトルをうち、中吊りでもこの連載を推している事から「大丈夫か?」と思うような連載をアノ週刊朝日が掲載するのは、編集長自らの肝入り、もしくは朝日新聞出版社長も当然承知しての企画だと推測した。

 一年足らずしか週刊朝日編集部に在籍していなかった僕が週刊朝日編集部について何かを言うのは生意気だが、とにかく校閲が厳しかったのは覚えている。その前に編集次長として在籍した選択出版「月刊選択」の校閲と同様に厳密だった。

 その厳しい校閲を通して掲載に踏み切ったという事は、橋下市長のあの性格からして、過酷な抗議が来るのは編集長、社長ともに分かり切っている事であり、更には最悪、職を賭してもという覚悟の元だと思っていた。

 橋下市長が会見をし、打ち切りの報が入る前日、僕は他社の編集者や記者と飲んでいた。デスク、副編集長クラスである。当然、この連載の話題になった。六人くらいいた全員が「一回目で打ち切りはないだろう」と言っていたが、その矢先の打ち切りの一報。皆が「あり得ない」と驚愕していたし、僕もそれはないだろうと思った。

 つまり、編集部側にそこまでの覚悟がなかったのか、それとも覚悟はあったのだが朝日新聞社からのよほど強い圧力があったのだろうと皆で推測した。と、言うかそれしか考えられない。その後、同和団体からの抗議もあった訳だが。

 橋下市長の会見についても触れたい。

 編集権の独立、を知ってか知らずか、あえて問うたのか。あの会見で朝日新聞記者に詰め寄った様を僕はテレビとニコニコ動画で視聴していた。テレビでは放送時間に間に合わなかったので最終的にはニコニコ動画で見ていたのだが、数万人の人が視聴する中、コメントは橋下支持で埋め尽くされていた覚えがある。

 橋下市長が大阪朝日新聞まで取材拒否するのは橋下市長の決断だが、週刊朝日には編集権の独立がある。当然朝日新聞にもある。原則論で言えば「独立」しているはずであるから100%子会社だからといって朝日新聞が週刊朝日の責任を取る筋合いは「本来は」ないはずである。

 橋下市長に質問された記者も戸惑っていたが当然だろう。もしかしたら ・・・ログインして読む
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筆者

久田将義

久田将義(ひさだ・まさよし) TABLO編集長

TABLO編集長。1967年、東京都生まれ。法政大社会学部卒業後、産経メディックスに入社。三才ブックス、ワニマガジン社の後、ミリオン出版に移籍し2001年から「実話ナックルズ」編集長。06年に選択出版に移り、週刊朝日を経てミリオン出版に復帰。12年9月まで編集局次長。犯罪や芸能界に詳しい。著書に『トラブルなう』『原発アウトロー青春白書』『僕たちの時代』(青木理氏との共著)。

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