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[6]GP第6戦「NHK杯」リポート(上)

ホームでありホームでなかった宮城

青嶋ひろの フリーライター

 NHK杯はただでさえ、日本選手にとって特殊な試合だ。今、世界で一番フィギュアスケートの注目度が高い国での国際試合。観客の数も報道陣の数も、他の5カ国で戦う時の、数倍から10倍ほど違う。これまで海外のグランプリシリーズしか経験がなく、NHK杯初出場となる今井遥などは、「まるで全日本見たい。アメリカやロシアとは、全然雰囲気が違います」と目を丸くしたほどだ。 

 そこに地元の重圧、震災復興の象徴的な期待がかかった羽生結弦の緊張、気負いは、スケートアメリカの比ではなかっただろう。宮城のリンクは彼にとって、ホームであってホームではなかったのだ。

 だから初日のショートプログラム。4回転を完璧に跳んでも、トリプルアクセルを成功させても、まだ彼の身体の動きは硬かった。「僕の感覚では、3回転ルッツ-3回転トウを決めるまでは、すごく硬かったと思います。4回転は自分の中で感覚が掴みきれているので、とりあえず大丈夫、と思った。でもルッツ-トウは、僕にとっていちばんの鬼門でしたからね」

 確かに、最初から最後までエネルギーがみなぎっていたスケートアメリカでの演技に比べると、三つのジャンプを跳び終わるまでは「ずいぶん慎重に滑っているな」という気がした。スピンも勢いで回るのではなく落ち着いてカウントしているように見えたし、滑りそのものにも硬さがあった。ジャンプを三つ決め終わるまで、ここまでは、決して世界最高得点の滑りではなかっただろう。

 しかし、

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筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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