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女性誌・アイドル誌の大型事務所に対する屈服

小野登志郎

小野登志郎 ノンフィクションライター

 11月28日、東方神起を脱退したK-POPグループ「JYJ」とその元所属事務所SMエンターテイメントとの間の契約を巡る3年以上続いたソウルの裁判所での訴訟では、双方の合意のもと、突如終結した。その合意内容は、双方が締結してきたすべての契約を2009年7月31日において終了するものとし、これに関連する全ての訴訟を取り下げること、そして、今後の活動に干渉しないという部分も含まれているとのことだ。3年以上にわたる長い裁判の終結に、安堵の声を上げるファンも多かった。筆者もその一人である。とはいえJYJの今後の道のりには、日本での契約を巡るエイベックスとの裁判も残っており、いまだ多くの障害があることも事実だ。

 突然の韓国裁判終結の前にあたる11月15日、関西空港の待ち受けロビーは混乱に陥いっていた。JYJが久しぶりに来日したからである。その目的は日本のJICAにあたる、「2012年韓日交流総合展」(主催:韓国知識経済部、文化体育観光部、主管:KOTRA、韓国コンテンツ振興院)の広報大使としての役目。当初、JYJはスピーチだけでなくミニコンサートを行う予定だったが、途中で変更されそれは行われることはなくなった。JYJファンの中には、この会場で、JYJの応援、およびJYJと専属契約を巡って係争中のエイベックスへの抗議を込めた集会を計画している者もあったが、主催者側の『これ以上混乱させたくない」との意向を受け、断念するという一幕もあった。

 さらには11月23日に行われたJYJのジュンスが出場した日産スタジアムでのサッカー大会である。この大会のチケット販売の結果が芳しくなかったことで、ジュンスがサッカーのみならずミニライブを行うと発表し、訪れる観客数を伸ばそうとしたというのだが、「音楽活動は許さない」と激怒したエイベックスから、即座に運営元であるイベント会社に中止を求める内容証明が送付されるという一幕も。また、ジュンスサイドと日本側を繋ぐ韓国人プロデューサーの会社には、なぜか右翼団体の街宣車まで現れることになった。この件とエイベックスの関係は不明であるが、「プロデューサーは恐怖を覚え、ホテルに住まいを変えた」(芸能関係者)という。

 まだある。昨年10月、2日間にわたって盛況に行われた茨城県のひたちなかで行われたコンサート。その模様を収めたDVD販売に関してだが、これがまた雲行きが怪しいことになっている。販売元JVDの公式ツイッターによれば、予約受付から二時間で、限定とされた5万枚が完売。インターネットでは、予約することができなかったファンの間から「増やしてほしい」との声が相次いでいた。この5万枚という数字は、現在の音楽業界では異例の数字である。

 しかし、このDVDの中に収められた映像化権を取得して制作したK社が制作著作権を主張。さらには、JYJの所属事務所C-JeS側からその対価をまったく受け取っていないとし、販売会社であるJVDにDVD販売中止を求める内容証明を送付したのである。したがって、この権利関係のトラブルを解決せずにJVDが販売を強行すれば、現在抱えているエイベックスとの裁判のほかに、また新たな裁判を抱えてしまう可能性が出てきている。実際、DVDを発送するはずだった佐川急便はトラブルを知ると、この業務から降りることになった。現在(2012年12月10日)までにトラブルは解決されておらず、このDVDが日の目を見るには年を越すことが必要になっている。

 C-JeSエンターテインメントの社長、ペク・チャンジュ氏は、エイベックスから韓国の暴力団と関係があるとされているが、暴力団云々とはまた別のところで日本の商慣習、法律と韓国のそれとの違いもあるからか、これまで、なかなかエイベックス以外の日本のパートナーを見つけられずにきた感がある。

 一方の東方神起に残ったユンホとチャンミンは、来年、日本の五大ドームツアーを敢行すると発表。その勢いはとどまることをしらない。2人になってから新たなファンが増え、今の東方神起は2人という認識があらかた定着したと言える。最近公式ファンクラブ会員になった人のtwitter情報によると、東方神起の公式ファンクラブBigeastの会員数は20万人を突破したという。来年のドームツアーのチケット争奪戦のために、ファンクラブの会員になるファンが増えているようだ。日本では、JYJを応援するファンの数よりも、今は東方神起を応援するファンの数の方が多いのが現状だ。SMとエイベックスが描くJYJ脱退後の東方神起の成功シナリオが、ファンのニーズにマッチし、着実に進行しているとはいえよう。

 そういった中、JYJとの専属契約が存続していると主張するエイベックスは、彼らをどうしようと考えていたのか? 関係者から漏れ伝わるところによれば「JYJとペク・チャンジュ氏を引き離すことできれば、また五人の東方神起に戻することができる。彼ら(JYJとC-JeS)に、(エイベックス抜きで)『自分たちだけでもやれる』と思わせてはならない」とのことだった。

 ここには本音もあるが、あくまでも表向きのエイベックスの見解でしかないように思える。その心の底の本音では、 ・・・ログインして読む
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筆者

小野登志郎

小野登志郎(おの・としろう) ノンフィクションライター

1976年、福岡県生まれ。早大中退後、フリーのライターとして執筆活動を始める。在日中国人や暴力団、犯罪などについて取材し、月刊誌や週刊誌に記事を掲載している。著書に『龍宮城 歌舞伎町マフィア最新ファイル』『ドリーム・キャンパス』『アウトロー刑事の人に言えないテクニック』など。

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