メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

[10]全日本選手権リポート(上)

「待ってろ、羽生結弦!」

青嶋ひろの フリーライター

 そして「3つ目の椅子」を見事につかんだのは、無良崇人。夏の時点で、町田や織田がいい感じで調子を上げていることは、誰の目にも明らかだった。しかし、「結弦や樹を見ていると、自分だけ出遅れてるような気がする……」とまで弱音を吐いていた男がここまで上げてくるとは、ほんとうに予想することができなかった。すべては11月、フランス・エリック杯において、ヨーロッパチャンピオンもファイナルチャンピオンも世界チャンピオンも揃う舞台で優勝したことがきっかけだろう。

 「僕自身、シーズン前は、あそこ(全日本の表彰台)に立てるとは思っていなかったです。でも、スケートカナダでの失敗とフランスでの優勝で、全てが変わりました。試合って流れなんだな、って。自分がいい状態でいれば、流れを利用することはできるし、逆に流されてしまうこともある。そこで、流れに負けない。よくない方向に進みそうになったら、いかに自分のやってきた練習で持ち直すか、なんですね」」(無良)

 自信、そして経験値。それが、戦う男たちにとって、どれだけ大きな栄養となるのか。まず精神面で、夏とはまるで別人になった彼は、既に持っていた「剛」のジャンプの迫力も、ここ数年で少しずつ身につけた「柔」の動きの滑らかさも、両方をしっかり見せて総合3位。

拡大無良崇人

 世界選手権だけでなく四大陸選手権代表にも選出されたのは、大きな期待の表れだろう。高橋、羽生にもしものことがあれば、この無良にソチ五輪代表枠獲得という重圧がかかる。彼には3月までに、もっともっと強くなってもらわなければならない、と。

 また今回3枚目の切符を得た者が、世界選手権常連の小塚でも織田でもなく無良であったことは、日本男子全体に与える心理的影響も大きいようだ。

 もし高橋、羽生の

・・・ログインして読む
(残り:約2391文字/本文:約5287文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

青嶋ひろの

青嶋ひろの(あおしま・ひろの) フリーライター

静岡県浜松市生まれ。2002年よりフィギュアスケートを取材。日本のトップ選手へのインタビュー集『フィギュアスケート日本女子 ファンブック』『フィギュアスケート日本男子 ファンブック Cutting Edge』を毎年刊行。著書に、『最強男子。 高橋大輔・織田信成・小塚崇彦 バンクーバー五輪フィギュアスケート男子日本代表リポート』(朝日新聞出版)、『浅田真央物語』『羽生結弦物語』(ともに角川つばさ文庫)、『フィギュアスケート男子3 最強日本、若き獅子たちの台頭 宇野昌磨・山本草太・田中刑事・日野龍樹・本田太一」(カドカワ・ミニッツブック、電子書店で配信)など。最新刊は、『百獣繚乱―フィギュアスケート日本男子―ソチからピョンチャンへ』(2015年12月16日発売、KADOKAWA)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

青嶋ひろのの記事

もっと見る