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二度の大震災を体験したCATV女性社員

川本裕司

川本裕司 朝日新聞社会部記者

 東日本大震災に遭った仙台市内のケーブルテレビ(CATV)社員の小田嘉子さん(42)は18年前、兵庫県芦屋市のCATVに勤めていたとき阪神大震災の大きな揺れを経験した。今回、地元向けの生活情報番組をいち早く伝えることを提案、復興に取り組む姿を追ったドキュメンタリーも制作した。

 小田さんは全国で50局のCATVを傘下にもつジュピターテレコムの社員。関西メディアセンター(大阪市)から2011年1月、仙台メディアセンターに異動し、宮城ネットワーク(愛称・仙台キャベツ)で、番組のCM出稿を集めるただ1人の広告営業担当をしている。3月11日は、仙台市内の中心部で打ち合わせをしていた。

 「JR芦屋駅近くのマンションで寝ていた阪神大震災のときは突き上げる揺れと地鳴りで、ミサイルが飛んできたのかと感じた。今回は長い揺れで地球がダメになったかと思った」

 揺れているさなかの恐怖感は変わらない。阪神大震災のときは、住居が半壊したため避難した大阪市内の友人宅で不安からなかなか眠れず、仕事は1週間後に復帰した。今回は気持ちをすぐに切り替えられた。

 1時間半歩いて会社に戻り、社内外の被災を撮影。担当ではなかったが、「いま出来ることをやりましょう」と、地域向けの番組を中心としたコミュニティーチャンネルで生活情報を伝えることを提案した。

 難しいのではと危ぶむ声もあった。しかし、制作担当だったケーブルコミュニケーション芦屋(当時)で、ライフラインの文字情報を静止画で伝え、役立った実感があった。今回は発生から4日後に震災対応番組を実現させた。

 仙台市がまとめた給水所や学校の始業式・入学式、スーパーの営業時間などの情報を打ち込んだテロップを、5月8日までほぼ一日中放送を続けた。現場で被災者から「ありがとう」と言われた制作スタッフは、表情が変わっていった。

 6月初め、ジュピターテレコムが仙台市内の約450人に宮城ネットワークの震災情報を伝えたチャンネルについて調査した。震災後1カ月の平均視聴回数は9・4回と、震災前の5・4回から増えた。

 小田さんは学生ボランティアや実業家らを追った50分間の特別番組「復興の光になる」も企画 ・・・ログインして読む
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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを経て、19年5月から大阪社会部。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

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