2013年02月08日
まず一般常識からの組織の問題意識のかい離である。密閉体質、対応の鈍さである。今回の女子柔道・日本代表の園田隆二監督とコーチがトップ選手15人に暴力やパワーハラスメントをしていた問題では、全日本柔道連盟(全柔連)と日本オリンピック委員会(JOC)のズサンな対応が混乱を大きくした。後手、後手に回った。
国際基準からいけば、まず「誰を守るのか」を考えなければならない。これは選手である。だが、全柔連もJOCも自分たちの地位(権力)保全を第一に事を進めようとした。メディアにすっぱ抜かれたから、大騒ぎになっただけである。メディアに気がつかれなければ、園田監督とコーチ陣への「戒告処分」だけで、水面下で解決させる方針だった。
これは間違っている。国際基準で考えれば、選手からの告発があった時点で、当事者と関係者の資格を停止し、第三者による調査・原因究明を進め、当事者の処分・謝罪・改善策の実行、さらには賠償・再発防止策の策定に移るのが筋であろう。それも、クイックでやらないといけない。競技生命が短い選手たちへの被害を極力、避けるためだ。
だが、今回の問題の場合、全柔連が昨年9月下旬に選手から告発を受けた後、組織内にてナアナアで事を収めようとした。JOCとて、昨年12月4日にトップ選手15人から異例の告発を受けてから、「アスリート・ファースト(選手優先)」を謳いながら、全柔連の立場を尊重するあまり、全柔連の主体で問題を解決させようとしていた。
もしも、全柔連、もしくはJOCが迅速、かつ公正に問題に対処していれば、これほどの大騒ぎにはならなかった。大阪の桜宮高校での「体罰問題」が社会問題となった後の問題噴出だったため、テレビメディアも派手にワイドショー的な扱いをしたのだろう。
海外メディアも報道することとなり、2020年東京五輪パラリンピック招致に打撃を与えることになった。せっかく盛り上がってきた国内支持率に水を差すだけでなく、国際オリンピック委員会(IOC)委員への「東京イメージ」にマイナスとなるかもしれない。日本のスポーツは未成熟、国際基準に至ってないとの印象を持たれかねないのだ。ライバル都市の東京ネガティブキャンペーンに材料を提供することにもなった。
全柔連の体質は、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください