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 9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で2020年の夏季五輪の開催都市が決定する。1月7日、最終候補地に残る2つの都市、東京、トルコのイスタンブール、スペインのマドリードが開催計画(立候補ファイル)をIOCに提出した。選考レースもホーム・ストレッチに入り、各都市の招致活動に拍車がかかることになった。

 果たして東京に勝算はあるのだろうか。2016年開催の争いでブラジルのリオデジャネイロに敗れた後の4年間を、文部科学省、日本オリンピック委員会(JOC)、東京都がどんな戦略・戦術で準備を進めてきたのか、そして、最も大事なことだが、開催都市決定の投票権を持つ国際競技団体や各国五輪委員会の会長など約100名に対する働きかけをうまくおこなっているのか、気にかかる。

 メディアなどによると、招致レースはイスタンブールがリードしているようだ。現状を踏まえ、東京の五輪招致について論じることにする。

 世界のスポーツを代表するのは五輪とサッカーのワールドカップ(W杯)だ。この2つの大会は以下の都市と国で実施されてきた。

拡大五輪とサッカー・ワールドカップ(W杯)の開催国・都市

 また、IOC委員長と国際サッカー連盟(FIFA)会長と出身国は以下の通りだ。

拡大国際オリンピック委員会(IOC)委員長と国際サッカー連盟(FIFA)会長と出身国

 上記から分かるように、五輪は欧州と米国を核に開催されており、120年の歴史の中で、欧州と米国以外の都市で連続して開催されたのは、1964年の東京と1968年のメキシコ市、及び1976年のモントリオールと1980年のモスクワの2回に過ぎない。

 W杯に至っては1930年の第1回大会以来、欧州大陸(ロシアも含む)とそれ以外の大陸で交互に開催されることが慣習化している。IOCの委員長とFIFAの会長も欧州出身者に極端に偏っている。

 このことからも欧州が五輪とW杯を牽引していることがよく分かる。このことは、五輪とW杯の招致は欧州の意思を無視できないことを意味する。さらに敷衍(ふえん)して言えば、2020年の五輪開催についての欧州の意中候補は、当然、マドリードまたはイスタンブールであって、特別の理由がない限り、東京の可能性は極めて低いと推察できる。

 それでは、マドリードとイスタンブールはどちらが有利だろうか。現時点では、史上初のイスラム圏での開催及び欧州とアジアの懸け橋に位置するとの理由でイスタンブールが最有力と目されているが、マドリードも侮れない。

 なぜなら、金融不安から脱却してEUを再強化する象徴として2020年のマドリード五輪を欧州が一体となって支持して、欧州各国がかつての宗主国としての影響力を行使した場合、マドリードが一気に浮上することも十分にあり得るからだ。

 正直なところ、東京は劣勢だ。だが、これは4年前のリオデジャネイロ決定時にある程度推察できた。そのために相応の布石を打たなければならなかった。

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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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