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携帯電話の普及、小遣い減少で部数減らす夕刊紙

川本裕司 朝日新聞記者

 携帯電話の普及が、駅の売店で扱われる新聞の売り上げに影響を与えている。とりわけ駅などでの即売が中心の夕刊紙は大きな打撃を受けている。東日本大震災後の広告収入の減収も追い打ちとなった。人員削減などの対応を重ねているが、逆風が続く。

 産経新聞社が発行する夕刊フジは、2011年2月から編集スタッフの大幅削減に踏み切った。産経上層部は「赤字基調を改善するため」と語っており、夕刊紙の生き残りをかけた対応策といえた。

 関係者によると、2月1日付の人事異動で、夕刊フジ編集局、同営業局(東京)から約20人が編集局整理部やサンケイスポーツ編集局、産経デジタルなどに転出、夕刊フジ関西総局(大阪)からも3人程度が移った。八十数人いた担当者は約60人に大幅に減った。即売会社社員は2月上旬、夕刊フジの担当者から「スタッフが3分の1減った」と告げられた。

 この人事について、産経新聞社広報部は「各部局とも効率化、スリム化を進めており、必要な部署に人材を投入している」と説明していた。同社のある幹部は「収益をあげることが目的。記者の原稿を減らし、外部筆者の記事を増やした」と言った。

 首都圏の夕刊紙は、夕刊フジと日刊ゲンダイ、東京スポーツの3紙がしのぎを削る。業界関係者の話では、首都圏での実際の発行部数はトップでも平均するとせいぜい30万部程度と見られる。このうち売れ残る返品率は40%以上に達するという。

 夕刊紙が最も売れたのはオウム事件があった1995年といわれる。連日大きな展開があり、先が読めない事件だったことが売れ行きにつながったという。この年に大リーグに渡った野茂英雄投手の活躍や、

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