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大阪都実現 足りないのは維新の政治力?

前田史郎 朝日新聞論説委員

 「やっとここまで来たという感じ。国の形を変える、と政治家は言うが、実際にやるにはこれだけのエネルギーが必要だ」

 2月27日、大阪市の橋下徹市長は報道陣の前で自分を納得させるように語った。

 この日、大阪府と大阪市を合併させる大阪都構想の実現に向け、昨年成立した大都市地域特別区設置法に基づく法定協議会(法定協)の初会合があった。

 橋下氏や松井一郎・大阪府知事、府市議会の各会派の代表者ら計20人が出席した。会議では来年6月をめどに協定書をまとめる日程などが示された。構想実現に向けた、具体的な一歩といえる。

 焦点の区割り案について、会議では4つの案が示された。

 今ある大阪市の24区を、人口約30万人の7区に統合する案を2つ、人口約50万人の4区に統合する案が2つ。それぞれ人口や税収、生活保護の割合などをもとに法定協の場で議論していくことになる。

 大阪市はキタとミナミの二つの顔がある。簡単にいえば「なにわパワー」の源といえる両極をどう配するかがポイントだ。

 オフィスビルが立ち並ぶ玄関口・キタの北区と、道頓堀があるこてこて系のミナミの中央区を合体させれば強い競争力をもち、1人あたりの市税が今の大阪市平均の約3倍という豊かな区が誕生する。

 一方で西成区や大正区などのグループは人口の減少傾向が予想され、「生活保護率が非常に高く、高齢化率も高い」(事務局資料から)という特別区になる。

 各案ともメリットとデメリットがあるが、要は区同士の税収を平等にする財政調整が課題となる。そのうえで新たにできる区議会の定数、区の名前と区役所の位置、府と区の事務分担などの難題が待ち受けている。

 論議はまだ入り口に立ったにすぎない。

          ■

 2014年6月に法定協議会で協定書を策定

▽同年度後半に府議会と市議会で協定書を承認し、住民投票を実施

▽約200本の関連法案を改正

▽2015年4月に大阪都設置

 この日示された今後のスケジュールである。

 来年策定される協定書には、特別区の区割りや税源配分などが盛り込まれる予定で、住民投票へ向けての最終案となる。住民投票で有効投票の過半数の賛同が得られれば、晴れて大阪都への移行が決まる。

 しかし本当にこのペースで物事が決められるのか、先行きは不透明だ。

 具体的な制度設計を前にすすめたい橋下市長、松井知事と、そもそも都に移行しなければ二重行政が解消しないのか疑問だと主張し続ける自民、民主系などの市議、府議との溝はなお深い。

 ある自民府議は「何のための都構想か」という入り口論議で徹底抗戦する構えだ。

 大阪都構想の一角である堺市では、ことし10月の市長選に向け、都構想反対論者の竹山修身市長が再選出馬を2月に表明。会見では「愛する堺市を大阪都構想によって消滅させてはならない。そのために一身を捧げる」と都構想に真っ向から反対する持論を展開した。

 これに対して大阪維新の会は、対抗馬の擁立を検討している。

 朝日新聞社と朝日放送(ABC)の2月の大阪府民への電話調査によれば、都構想に賛成する人は48%、反対は36%で、1年前と ・・・ログインして読む
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筆者

前田史郎

前田史郎(まえだ・しろう) 朝日新聞論説委員

1961年生まれ。神戸、広島支局、東京・大阪社会部、特別報道部等で事件や原発・核問題、調査報道、災害などを担当。社会部デスク、教育エディター、大阪・社会部長、同編集局長補佐、論説委員、編集委員、論説副主幹を経て18年4月から現職。気象予報士。防災士。共著に『プロメテウスの罠』『核兵器廃絶への道』等。

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