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 昭和の大横綱、大鵬幸喜さんは亡くなったが、彼の人気絶頂時は、「巨人・大鵬・玉子焼」ともて囃されて一世を風靡したものだ。当時、読売ジャイアンツの試合はプラチナカードだった。球場は毎試合満杯。テレビ視聴率も他の番組を圧倒して、まさにキラーコンテンツ。玉子焼の好きな子供たちは強い巨人と大鵬が大好きで、男の子はプロ野球の選手になることに憧れたものだ。だから、当時、プロ野球(NPB)と大相撲は正真正銘の国民的娯楽だった。

 しかし、現在、NPBと大相撲が国民的娯楽の双璧かというと大きな疑問符が付く。この二つのプロスポーツを熱心に応援するのは団塊の世代とそれより上の年齢層が中心になり、若年層が興味を示さなくなってきたからだ。

 的確な表現ではないかも知れないし、NPB関係者から叱られそうだが、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のテレビ視聴率を見て、プロ野球はさすがに「腐っても鯛」だと思った。長時間の試合だったにもかかわらず、平均視聴率(関東)が以下の通り、驚異的だったからだ。

■1次ラウンド

 3月2日(土)対ブラジル 25.4%

 3月3日(日)対中国 23.2%

 3月6日(水)対キューバ 22.8%

■2次ラウンド

 3月8日(金)対台湾 33.6%

 3月10日(日)対オランダ 34.4%

 この機会に、NPBは人気回復に本気になって取り組むべきではないだろうか。

 プロ野球の地上波全国放送生中継が視聴率を取れなくなって久しい。視聴率の取れない番組が降ろされるのは世の習い。合わせて、放送権利料も大幅に減額した。

 プロ野球の人気凋落は1993年のJリーグ開幕以前から始まっていたが、Jリーグの開始とサッカー日本代表のワールドカップ出場によって決定的となった。

 もちろん、それだけではない。NPBの自滅的失策も多々あった。この低迷は日本経済の失われた20年と軌を一にしていると言える。

 第1回と第2回のWBCも高視聴率を取り、日本代表が優勝した時は国中が歓喜に沸いた。しかし、WBCに対する国民の感動と興奮は一時的だったので、プロ野球の人気上昇にはさほど貢献しなかった。

 かかる点を勘案すると、今大会のテレビ視聴率がプロ野球の観客動員力とテレビ視聴率の向上に直結するかどうか予測するのは極めて難しい。

 だが、プロ野球をとり巻く現下の外部環境は、過去のWBC開催時と全く異なる。 ・・・ログインして読む
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筆者

大坪正則

大坪正則(おおつぼ・まさのり) 大坪正則(帝京大学経済学部経営学科教授)

1947年生まれ。1970年、伊藤忠商事に入社。1981~85年まで、アメリカのニューヨークとデンバーに駐在。情報通信総合企画室などを経て 1986年、NBAプロジェクトマネジャーに。現在、帝京大学経済学部経営学科教授。専門はスポーツ経営学。著書に『パ・リーグがプロ野球を変える』『スポーツと国力』(以上、朝日新書)、『プロ野球は崩壊する!』(朝日新聞社)、『メジャー野球の経営学』(集英社新書)など。2014年3月4日、死去。

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