スポーツ界には避けられない宿命がある。連勝(連覇)はいつの日か必ず途絶えることだ。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3連覇に挑んだ日本代表が決勝トーナメントの準決勝で敗れて、日本中が期待した夢が潰えた。
スポーツ経営の立場から球団の財務内容を5年程度の期間で分析すると、強くなる球団と弱くなる球団が分かってくる。同様に、勝負事には勝つべき要因と負けるべき要因が存在する。日本代表の敗因は何だったのだろうか。
選手たちは全力を尽くしたので悔いはないと言うが、本当に額面通りに受けとめてよいのだろうか。以下、三つの視点から、日本代表の戦いを分析してみる。
一つ目は、監督と選手の「勝ち」に対する執念。
戦力が拮抗しているチームの試合での勝敗は、監督と選手の勝ちたい気持ちが相手を上回っているかどうかに左右される場合が多い。この点については、これから試合当日ベンチ近くで取材をしていた記者やレポーターが新聞・テレビ・雑誌を通じてベンチ状況の詳細を報告してくれるだろう。だが、日本で行われた1次ラウンド(R)と2次Rのベンチの雰囲気と米国サンフランシスコ(SF)の準決勝では明らかに違っていた。
1次Rと2次Rでは、監督と選手に勝ちたい気持ちがみなぎっていた。特に台湾戦がそうだった。ベンチ全体に一体感があったから土壇場に追い込まれても一縷(る)の望みを託すことができた。
しかし、プエルトリコ戦では、米国に移って緊張感が増したのか、またはプエルトリコを格下と考えて気の緩みが生じたのか、選手に覇気を感じることができなかった。勝ちに対する執念では、明らかに、代表チームはプエルトリコに負けていた。
二つ目は、
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