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W杯出場権の先に生じた誤差

潮智史 朝日新聞編集委員

 ようやくW杯最終予選らしくなってきた。そのぐらいに考えておいていいのだと思う。

 昨年6月から始まったW杯ブラジル大会アジア最終予選B組で首位を独走していた日本が、ヨルダンの敵地アンマンで初めて土をつけられた。

 それでも、B組2位までに与えられる出場権争いでは、極めて優位な状況にある。DF内田篤人は「そんなに簡単じゃないとわかっていた。落ち込む必要はない」と話していた。その通りだとうなずける。

 ただし、ザッケローニ監督にすれば、思惑が狂ったことは間違いないだろう。おまけに、厄介な状況を招いてしまったといっていい。アウェーとはいえ、今回のヨルダン戦でW杯出場を決めると選手に強く言い聞かせていたのは、これから先々のチームづくりを考えてのことがあったからだ。

 出場権を決める試合は6月に持ち越された。代表チームとしての活動期間が取れるこの6月、実は移動を含めて、もともと過密日程なのだ。

 W杯最終予選で4日にオーストラリアを国内に迎え、さらに11日にイラクとのアウェー戦(試合地はドーハが有力)に臨む。15日からはブラジルであるコンフェデレーションズカップに出場して、1年後にW杯を控える開催国ブラジルのほか、イタリア、メキシコと歯ごたえのある強豪国との連戦が待ち構えている。

 この期間、チームとして長い時間を共有できる。密度の濃い成長を望めるところでもある。

 ヨルダン戦で出場権を手にして入れば、残った最終予選2試合を新戦力や戦術面などの新しい試みの場として有効活用することができた。チームの主力となっている欧州組の選手たちのコンディションにも配慮する余裕もできていた。

 たとえば、オーストラリア、イラク戦は欧州組に休養を与えつつ、若手や新しい選手を

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