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 警察庁は3月7日、「準暴力団」という取り締まり対象を新たに設ける、と発表しました。1992年施行の暴力団対策法を最近ちょこちょこといじっているので、その流れかと思いきや違いました。2003年に解散した暴走族連合体の「関東連合」元メンバーと、中国残留日本人孤児の2世を中心に88年ごろにできた暴走族「怒羅権(ドラゴン)」を準暴力団とし、取り締まりを強めるというのです。何かの法律に基づく措置ではありません。それにしても、いかにも遅いし、なんで今さら、と合点がいきません。

●きっかけは六本木クラブ殺人事件

 準暴力団の定義はこうです。「既存の暴力団のように組長をトップとする上下関係がはっきりしてはいないが、所属メンバーやOBが繁華街などで、集団で常習的に暴力的不法行為を行う。暴力団に準じる集団」。わかったようでわからん定義ですが、要は関東連合と怒羅権の一部特徴を説明したものです。

 準暴力団新設のきっかけは、2012年9月に東京・六本木のクラブであった殺人事件です。客の男性が金属バットを手にした集団に襲われ、死亡しました。警視庁は、関東連合の元メンバーが関与したとして元リーダーらを逮捕しました。それまでも警察は、元メンバーらを振り込め詐欺などでちょこちょこ逮捕していましたが、これほど凶悪な事件はなかった。大きく報道されたこともあり、「こりゃさすがに何かアクションを起こさないとまずい」と思い至ったのでしょう。

●ついでに怒羅権?

 怒羅権は、関東連合と異なり、解散届は出していません。集団そのものがまだあります。もう四半世紀も存在し、ある意味で日本社会に定着しています。事件への関与でいえば、対立暴走族との抗争や強盗など一部メンバーによる悪さはいまに始まったことではありません。「すでに解散した関東連合元メンバーだけではさみしい」と怒羅権も対象に加えたように思います。実は警察庁は、もうひとつの集団を準暴力団にする予定でした。

 大阪のアマチュア格闘技団体です。複数のメンバーが傷害や恐喝未遂事件を起こし、昨年相次いで逮捕されていたためです。ところがこの団体は2013年2月4日、大阪府警に解散届を出しました。それには「一般市民に多大なご迷惑を掛けました。暴力団関係者との付き合いを断ち切り、今後二度と同じ過ちを起こさない決意です」と書いてあります。これをもって警察は「よしゃ、そしたら今回は見送る。でも動向は監視する」と準暴力団の一次認定から外したのです。

●これから実態解明?

 警察庁の米田壮長官は3月7日の会見で「こうした集団は治安上看過できない恐れがある。実態解明の徹底、違法行為の取り締まり強化、警察の情報共有の推進を進める」と述べたうえで、具体的には(1)人的、資金面で打撃を与える取り締まり(2)資金源遮断と犯罪収益の剝奪を進め、「弱体化と壊滅に努める」と宣言しました。

 失礼ながら成就するか疑問です。

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筆者

緒方健二

緒方健二(おがた・けんじ) 朝日新聞西部報道センター記者

朝日新聞社会部員(組織暴力専門記者)。1958年大分県生まれ、同志社大卒。毎日新聞社を経て88年入社、92年東京本社社会部。警視庁警備・公安、捜査1課、国税などを担当、99~2004年警視庁キャップ。東京社会部デスクを経て、04年から警察・事件担当の編集委員。地下鉄サリンなど一連のオウム真理教事件のほか数多の殺人、贈収賄、暴力団犯罪などを取材。17年4月から西部報道センター。

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