フィギュアスケート国別対抗戦、最終日に明らかになった「浅田真央、来季限りで引退」の報。
現在22歳、来季23歳という年齢を考えれば、「早すぎる」「2018年の韓国・平昌(ピョンチャン)五輪も挑戦できるはずでは?」という声もあがっているようだ。
フィギュアスケート取材の現場から見れば、この時期のいきなりの言及に驚きはした。しかし同時に、「やはり来季限りか」と、すとんと納得するような気持ちになったことも確かだ。
「来季が集大成」――その気持ちに、浅田真央を駆り立てたものは何か。彼女自身は「理由はひとつではない」ということを強調し、「これが」という一番のきっかけを挙げることを避けた。
おそらく彼女の言う通り、様々な理由があったのだろう。不安定になったジャンプ技術を取り戻そうと、佐藤信夫コーチとともにコツコツと取り組んできた日々は過酷なものだった。
それがやっと功を奏し、今季は世界選手権までの公式戦5戦で5勝。しかし万全を期して臨んだ世界選手権では、どうしても跳びたかったトリプルアクセルを失敗し、銅メダルに終わる。

世界国別対抗戦のフリーの演技を終え、苦笑いしたような表情を見せる浅田真央=2013年4月13日
まわりを見渡せば、同年代のキム・ヨナ(韓国)だけでなく、アメリカ、ロシアなどの若手選手たちが、かつて自分が得意としていた3回転-3回転の連続ジャンプを軽々と跳んでしまう。一方、自身は、珍しく弱音を漏らすほどの激しい腰痛に悩み、体力的にも厳しさを感じ続けてきたようだ。
女子スケーターは一般的に、何歳くらいで引退を迎えるのか。
早い選手では長野五輪で優勝したタラ・リピンスキー(アメリカ)が15歳で引退。ソルトレイクシティ五輪金メダリストのサラ・ヒューズ(アメリカ)も16歳で引退。一方でロシアのマリア・ブチルスカヤのように26歳で初めて世界チャンピオンになり、29歳まで現役を続けた選手もいる。
ごぞんじ日本の鈴木明子も、来季限りとなれば28歳で引退。選手によって幅は広いが、かつて伊藤みどりが、肉体的にも精神的にも女子選手が一番充実しているのは19歳、と語ったことがあった。また日本のスケート界の通例としては、大学卒業とともに選手も引退、つまり22歳くらいで選手生活を終えて就職、社会人へ、という形がいちばんよくあるパターンだ。
もちろん伊藤みどりの時代に比べれば選手寿命は延びており、特にトップ選手は大学を卒業しても企業の支援などを得て、競技生活を続けやすい時代になっている。それでも荒川静香が24歳で引退したように、20代半ばが一般的な引き際と考えていいだろう。
「たぶんバンクーバーの、次のオリンピックまでは続けると思うんですよ」
浅田がそんなことを語っていたのは、バンクーバー五輪を数年先に控えた高校生のころ。彼女自身も、ひとつの区切りとしてはソチ五輪――これは早くから念頭にあったのだろう。