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大産大「やらせ受験」問題の真相(上)――いまどき珍しい“前近代的な閉鎖体質”――

西岡研介

西岡研介 フリーランスライター

 「世間をお騒がせして申し訳ない」――

 4月12日、大阪産業大学(大阪府大東市、以下「大産大」)の本山美彦学長は「やらせ受験」問題の発覚から1カ月後にして初めて記者会見を開き、謝罪した。

 「やらせ受験」問題とは、大産大が、経営学部の定員超過による文科省の補助金カットを免れるため、2009年度の同学部の一般入試で、他大学への進学が決まっていた付属高校(大産大附属高校)の成績優秀な生徒に複数回受験させ、合格後、入学を辞退させることによって、定員調整をしていた問題だ。

 少なくとも9人の生徒が、30回受験していたことが判明しており、依頼を受けた生徒には1回につき5000円、1人最大30000円の“日当”が支払われたケースもあった。

 この問題について私は、3月19日発売の『週刊朝日』(3月29日号)で「関西有名私大『不正入試』の全容」と、他誌に先駆けて報じたが(もっとも、発売2日前に「毎日新聞」に1面で抜かれてしまったのだが…泣)、これらの報道によって在阪の新聞や民放各局の取材が大産大に殺到した。

 ところが大産大は「テレビカメラで撮影するならば説明できない」などとして会見を拒むなど“前近代的”な対応に終始。さらにその後も(というか、『週刊朝日』の第一報の取材段階から既にそうだったのだが)、「第三者調査委員会」を設置したことを理由に、自ら、問題の経緯や事実関係を説明することから逃げ続けた。

 この学校法人、大学側の姿勢には内部からも批判が噴出し、3月21日に同大学の教職員組合が「大学入試選抜システムに対する信頼を著しく損なう行為で、国民の信頼を損なった」などとして、経営陣が責任を取り、謝罪するよう求める声明を発表。4月3日には学部長ら15人が連名で声明文を出し、〈学内外に説明責任を果たしてこなかった本学校法人の経営者と大学の代表である学長の責任は重大で、みずからの責任と進退を明らかにするべき〉と、法人のトップである土橋芳邦理事長(元「クボタ」社長)と本山学長に迫った。

 これら内外の批判を受け、大産大がようやく開いたのが、冒頭で記した本山学長による記者会見だった。ちなみにこの記者会見をめぐって大産大は「『大阪科学・大学記者クラブ』加盟の新聞、テレビ局に限る」と『週刊朝日』の出席を拒んだだけでなく、会見への参加を求めた大産大教職員の出席をも拒否するなど、その閉鎖的な体質を露わにした。

 そうして開いた会見で、本山学長は前述の通り「世間をお騒がせ」したことについては謝罪したものの、肝心の「やらせ受験」については「大学の関与はなかったと思っている」と、この不正入試が大学側の指示で行われたものとする見方を否定した。

 だが、今年の1月末から、約2カ月にわたって延べ20人以上の学園(法人、大学、付属高校の総称)関係者を取材してきた私からすれば、「寝言は寝てから言え」という

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