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大産大「やらせ受験」問題の真相(下)――経営陣の圧倒的な“公”意識の欠如――

西岡研介

西岡研介 フリーランスライター

 4月12日に行われた大阪産業大学(以下「大産大」)の本山美彦学長による会見を受け、同大学からの依頼で「やらせ受験」を主導したとされる大産大学附属高校(以下「産高」)の元教頭は同月18日付で、次のような文書を本山学長宛に送付した【( )内は筆者】。

 〈本山学長様がご自身で調査をされるお気持ちがあるのでしたら、私は学長からの聞き取り調査に応じる用意があります。

 私からの話を聞かれた上で、あらためて(「やらせ受験」に関与した)入試センターの○○(文書では実名、以下同)部長、△△次長、当時の入試センター長の□□先生、前(入試)センター長の●●先生、前学長の籠谷先生、前理事長の古谷氏、平成23年10月時点で事実を把握しながら隠蔽へ繋がる報告をした(大産大)附属高校の■■氏などから聞き取りをされてはいかがでしょうか。

 それでも真相がつかめない場合は、上記の方々と会って真相を明らかにする場面を作って頂いてもよいと考えています。その際、当方からは元事務局長の○○氏および当時の私の部下であり所謂「やらせ受験」を実行させた教員にも出席を依頼するつもりです。(中略)最後に法人主導の正体不明な第三者委員会ではなく大学自らが調査をされることが「大学の自治」精神に則った公正な方法ではないかと愚見を述べさせて頂きます……〉

 この元教頭からの要請に応じ、本山学長は22日、大阪市内で元教頭と面談。元教頭から「やらせ受験」の全貌について説明を受けたというが、これによって大産大がどう“軌道修正”するか、けだし見ものではある。

 今回の大産大による「やらせ受験」問題、さらにはその後の同大学の対応を取材していて痛感したことは、この学校法人の“前近代性”や“閉鎖的体質”もさることながら、本山学長や土橋芳邦理事長(元クボタ社長)をはじめとする大産大経営陣の圧倒的な“公”意識の欠如だ。

 教育基本法第六条は〈法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる〉と定め、大産大のような「私立学校」といえども公教育の一翼を担っているという点で、国公立の学校と変わりなく、〈公の性質を有するもの〉としている。

 さらに私立学校法第一条は〈私立学校の特性にかんがみ、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって、私立学校の健全な発達を図ることを目的とする〉として、私立学校に対し、その〈自主性〉を尊重する代わりに、〈公共性〉にも十分配慮するよう求めている。

 おそらく、本山学長や土橋理事長ら大産大経営陣は、これらの“法の精神”をよく理解されておられないのではないか……。

 学校法人「大阪産業大学」は4月1日付で、「やらせ受験」に関与した産高の平岡伸一郎校長を「法人本部事務局付」とする人事を発令した。事実上の解任である。と同時に、産高と同じ大産大の付属高校である「大阪桐蔭中学校・高等学校」(以下「大阪桐蔭」)の森山信一校長を「退任」させる人事も発令した。

 『週刊朝日』3月29日号にも詳述したが、森山氏といえば、「やらせ受験」が行われた2009年当時の大産大の副理事長で、古谷七五三次(しめじ)前理事長とともに、 ・・・ログインして読む
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筆者

西岡研介

西岡研介(にしおか・けんすけ) フリーランスライター

【2015年3月退任】フリーランスライター。1967年、大阪市生まれ。91年に神戸新聞社入社、阪神淡路大震災や神戸連続児童殺傷事件などを取材。98年以降、『噂の眞相』編集部、「週刊文春」記者、「週刊現代」記者を経て、現在はフリーランス。著書『マングローブ――テロリストに乗っとられたJR東日本の真実』で08年、講談社ノンフィクション賞を受賞。

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