薄雲鈴代
2013年04月26日
それは中堅私大や地方大学に限ったことではない。京都大学でも学生の質が問われている。
新年度に入ってほぼ1か月、京都大学のある百万遍界隈は新入生で溢れかえっている。校内にいくつもある学食を覗くと、いつも長蛇の列で、席取りもたいへんという賑わいぶりだ。どこの大学でも見られる日常の光景であるが、何処とも一緒というのがいただけない。つまり、むかしは確かにあった‘さすが京大らしいね’という空気感が希薄なのだ。
混雑する食堂で、肩が触れ合うほどの相席には耐えられない。ひとり掛けのカウンターであってもすぐ目の前に他の学生がいる状況では、食事ものどを通らない。いまの学生は、他人となるべく関わり合いたくない。だから学生が提出した食堂への改善要望が「衝立をたててほしい」である。大学はその要求に応えて、いま京大の学食には衝立がちゃんと設置されている。そこに男子学生がちょこんと座りチョコレートパフェを食べているのだ。(ちなみにパフェは、京大学食の人気スィーツメニューである)
全体的に、輪郭のか細い幼い印象が拭えない。百万遍におとなの大学生が少なくなったと、町の住人たちも口々にいう。この頃はバストイレ付のワンルームマンションが当たり前になったが、それでも京都には下宿屋が今なお多い。ゆえに昔ながらの銭湯も町のあちこちにある。百万遍のそばにも古い銭湯があるが、ここでも京大生の公衆道徳の無さに愁眉、苦笑の日々らしい。
以前の学生は、すみやかに風呂に入り、湯船に浸かるときも、ひとり静かに沈思黙考していた。いかにも学生らしい風情だったと、町の長老たちはいう。それが今は、まるで修学旅行の高校生のような騒ぎぶりだという。友だちと連れだって延々無駄話をしながらダラダラ銭湯を
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