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リンゴからキノコに歩み寄る、かもしれない

倉沢鉄也

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 MNP(携帯電話番号ポータビリティー)がはじまって6年半がたった。当初からキャリア間のシェアの奪い合いは、MNPの割引価格も含む通信費の価格政策をエンジンとして、主にドコモからauと現ソフトバンク(以下SBM)へ移る、という流れで推移してきた。この6年半で通信費用以外のインパクトを与えてきたのはiPhoneだけだ、と見るのが自然であろう。キャリアとして仕入原価に対する利益を下げてでもiPhoneを販売してきたSBMはこのMNPのマーケットを主導してきた、iPhone発売に踏み切ったauは昨今好調、踏み切らないドコモは低調、という報道になっている。少し遠回りになるが、このボリューム感を数字で追ってみる。

 TCA(電気通信事業者協会)の携帯電話等契約数の値を見ても、2012年10月~11月、12月~翌1月にはドコモは契約者数の純減を記録し、シェアは2012年4月~2013年3月の12ヶ月でドコモ2.3ポイントマイナスとなっている。ところが、この統計数値では、上記12ヶ月でauのシェアもまた0.3ポイントマイナスになっており、SBMすらも0.7ポイントの増加でしかない。残りのシェアはUQコミュニケーションズ(1.0ポイント増)、事実上「ソフトバンク4G」である(元ウィルコムAXGP)のWireless City Planning(0.8ポイント増)の「4G」回線が吸い取っている。TCAの統計ではauとソフトバンクのLTEを切り分けることはできないが、販売・契約実績の主戦場が、iPhoneを含めて高速回線を搭載したスマートフォン・タブレットにシフトしているとは言える。

 JEITA/CIAJ(電子情報技術産業協会/情報通信ネットワーク産業協会)の統計数値では、2012年4月~2013年2月累計で携帯電話等の出荷台数は約2,416万台、うちスマートフォンが1,380万台と56%を占め、スマホの対前年同月比は約22%増(携帯電話全体では約12%減)となっている。これを感覚的に妥当と見るか否かは、

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