2013年05月24日
周知のとおり、読売は創立以来、時の自民党政権と同じような意見を主張してきた。いまさら読売が安倍政権と組んで政権の意図をプロモーションしたと批判するのは読売を知らない証左である。
読売は長年にわたって憲法改正を主張してきており、改憲を政権公約の一つに掲げる安倍晋三首相と手を組むのは自然な流れだ。したがって、憲法改正の議論を喚起するプロモーション案を読売から安倍政権に提示すること自体、決して不思議なことではなく、たまたま長嶋・松井両氏の栄誉賞につながったに過ぎない。
両氏の授賞式が東京ドームで読売の子会社である読売ジャイアンツが主催する巨人対広島の試合前に行われ、しかも始球式に安倍首相が「96番」のユニフォームを着て登場したため、知識の浅いメディアのひとたちの間に憶測を呼んだようだ。だが、ここでは読売と時の政権の関わり合いにこれ以上触れることはしない。ここでは「スポーツ経営」の視点で今回の栄誉賞を分析する。
今回の栄誉賞表彰式演出の下敷きが、1959年6月25日の“天覧試合”であることを高齢の野球ファンはすぐに気づいたはずだ。天覧試合は昭和天皇の後楽園球場(現在、東京ドーム)での巨人主催の対阪神戦を指すが、天皇陛下のプロ野球観戦は史上初だった。
その実現は、当時読売の社長であった正力松太郎氏の政治力と実行力の賜物であった。その日の巨人戦はNHKと読売の子会社の日本テレビを通じて全国民が生中継をテレビ視聴できた。全ての国民が天皇陛下と共に野球観戦を楽しむ喜びを共有してテレビの普及に弾みがつくと同時に、プロ野球が「国民的娯楽」として国民に認知された一瞬でもあった。
しかし、逆の見方をすると、読売は
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