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マネーと改革が五輪生き残りのカギ

松瀬学 ノンフィクションライター

 レスリングが五輪生き残りへ、第一関門を突破した。ロシアのサンクトペテルブルクで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、野球・ソフトボール、スカッシュとともに、最終候補3競技に残った。
 ただ楽観はできない。本番は9月8日のIOC総会である。2020年夏季五輪の追加競技の枠は「1」。今度は15人のIOC理事会でなく、100人余のIOC委員の総会に諮られることになる。どうなるかさっぱりわからない。五輪3連覇の吉田沙保里(ALSOK)もさすがに疲れ切った表情だった。
 「3つに選ばれて、ひとまずよかった。ホッとはしています。でも、まだ勝ったわけじゃない。9月の決勝戦に向けて、もっと頑張らないといけない気持になっています」
 吉田はサンクトペテルブルク入りした5月27日夜以降、ホテルでも、国際会議「スポーツアコード」の展示ロビー会場でも、3つの金メダルを胸に下げて、IOC委員らスポーツ関係者にレスリング支援を訴えた。夜、中華料理店で呉経国IOC理事(台湾)に会えば、タックルのノリで「接近」した。
 「ロビー活動で、少しは力になれたのかな、と思っています」
 五輪競技に残った理由は、レスリング界の「改革」と「執念」だった。これまで伝統にあぐらをかいていた組織が、IOCに不人気だった会長のクビを切り、女性委員会と新たな選手委員会を発足させた。新任のラロビッチ会長(セルビア)の下、改革を進め、観客にわかりやすいよう、ルール変更にも踏み切った。選手の男女比是正たのめ、階級数変更の検討にも入っている。
 さらに米国、ロシアが存続を訴え、日本からは100万人近い嘆願署名をIOCに持ちこんだ。ラロビッチ会長は言う。
 「組織として、できる限りの改革をやってきた。レスリングの魅力をアップしていく。最終候補に残る絶対的な自信があった」
 どだい2月のIOC理事会でのコア競技からの除外決定が理不尽だった。除外危機にあった近代五種に ・・・ログインして読む
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筆者

松瀬学

松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター

ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。

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