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携帯電話を使える専用車両を

菘あつこ フリージャーナリスト

 電車の中で携帯電話の着信音が鳴る、仕事の相手先からの電話。周囲に申し訳ないと思いながら、とりあえず出て小声の早口で「すみません、今、電車の中なんです。15分ほどしたら降りて掛け直しますので」と言って急いで切る──こんな行動もマナー違反なのかもしれない。だけど、大切な相手だからこの数秒は許してほしいと心の中で言い訳をつぶやく。そして、頭の中で考えを巡らせる。降りたら、また急いで移動しないといけないんだよなーー、歩きながらのせかせかした電話になっちゃうなーー、この電車移動中に電話ができたら効率的なんだけど……と、ついそんなことを思ってしまう。私と同業でなくても、営業職など人間相手のコミュニケーションが大切な仕事をしている方々には、同じような思いを抱いたことがある方が多いのではないだろうか?

 そもそも、電車の中で携帯電話での通話ができないのは、日本くらいだと聞く。外国人は「エッ、じゃぁ、どこでも使えるモバイルの意味ないんじゃ?」と目を丸くして不思議がる。ヨーロッパでもアメリカでもアジアでも、電車やバスといった公共交通機関での携帯電話通話は特に問題にされず、自然に行われている。また、よく説明される“心臓ペースメーカーへの影響”については、昨年12月のWEBRONZA科学・環境ジャンルの久保田裕氏の原稿【いつまで続ける「優先座席の携帯OFF」】にあるように、movaなどの第2世代携帯の時代ならともかく、現在の3・5世代携帯やスマートフォンでは、ほとんどペースメーカーへの影響はないそうだ。つまりペースメーカーを使っていらっしゃる方も怖がることはない状態という調査結果が出ている。

 じゃぁ、どうして? 昨年、ドイツに行った時、電車の中で若者が長電話をしていたけれど、まったく気にならなかった。仕事の電話をまるでオフィスにいるようにしている人もいた。だけど、普通の光景に見えた。私がドイツ語を理解できないから? いや、あの電車の中で仮に日本人が日本語で会話していたとしても、よほどの大声や会話の内容が過激といったことでもなければたいして気にならなかった気がする。日本ほど混雑していなくて、誰もが座席にゆったり座れるくらい空いていたからだろうか?

 私だけでなく複数の知人に聞いてみても、

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