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「食の伝道」の場所・内容・対象を丁寧に詰めるべし

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 5月28日の「クールジャパン推進会議(第4回)」に公表された「クールジャパン発信力強化のためのアクションプラン」に、19のアクションプランの一つとして、「正統な日本料理をつくることのできる料理人や日本料理に造詣の深い学識経験者(日本人、外国人)などを食の伝道師として育成し、日本食・食文化の普及・啓発を行わせる。(主管:農林水産省)」と記されている。

 このアクションプラン全体は、どちらかというとアニメ等のポップカルチャーがメイン・コンテンツとして語られており、いわば食は第2のテーマである。この食文化については、相手国の文化の理解の上、日本産酒類やお茶なども飲み物を含め、また食習慣や服装や接客サービスといった、経済と文化の両面を含めた食産業全体を、イベント、海外向け広報宣伝、要人によるトップセールス、を中心として情報発信を行うことを約束しており、経済政策としての着地点はインバウンドの観光客誘致、商品輸出促進、海外現地への企業進出である。

 この方針の源流の一つである調査結果報告書が手元にある。「平成22年度文化観光資源を活用した訪日旅行ニーズ調査事業 報告書」(国土交通省観光庁)をひもとくと、上記の「相手国の文化の理解」と「食の伝道師」の様々な組み合わせが見えてくる。この調査では、訪日外国人数の上位を中心に欧米亜の15カ国について現地の業界関係者にインタビューして日本食に対する嗜好性と情報量や理解度、それが日本への旅行の魅力となりうるか、について点数化した上で、絞った4カ国で一般市民にアンケート調査でその詳細を聞き、情報発信の内容と方法について分析を行うという、2段階の調査を行っている。

 これを見ると、人口規模・経済規模・相手国文化への浸透可能性などを総合的に考えると香港、シンガポール、中国、米国、までを主要ターゲットとするのが妥当のようだ。タイは大戸屋が超高級(=日本と同程度の値段)日本料理店として大規模進出するなど親和性は高いが、経済面でまだ日本食は憧れの範囲にとどまっている模様だ。現在訪日外国人数で現在1位である韓国は、歴史や文化の背景なのかアジアの中でも例外的に「正統な日本食」への関心が薄く、むしろカレー、丼、うどんなどのB級グルメの定着度の強さが見て取れる。逆に同3位の台湾は国民総じて「日本ファン」が多い中、日本食は台湾の食事とあまりにも親和性が高すぎ、

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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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