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原発産業を取り巻く構造に司法のメスを

河合幹雄 桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)

 原発の建設と維持に関連して、電力会社とゼネコン、自治体の首長、政治家の親族企業などの間に、違法性が疑われる関係があるのではないかとの憶測は、かなり以前からあった。朝日新聞の最近の取材によって、この疑惑は深まっている。ところが、それにもかかわらず、東京電力は事態を解明して対処に向かう姿勢を全くとっていない。また、警察、検察の捜査がなされている気配もない。この事態は、どのように理解すればよいであろうか、原発産業と司法介入という視点から一言しておきたい。

 原発事故に対する損害賠償は、法学者から見れば、本来、原発の製造者の責任であって電力会社の責任ではない。そこを曲げて電力会社の責任とする立法がなされたのは原発がGE製だったからであり、これは一種の「日米地位協定」あるいは「不平等条約」である。さらに、原発は、核兵器の工場としての側面を持つことも想起しなければならない。詳しく論じるまでもなく、原発は、電力供給という電力会社の本来の機能だけでなく、安全保障に係わる役割が大きい。したがって、電力会社から見れば、国家政策に協力してやっているぐらいの感覚があっても不思議ではない。電力会社側で、全て決められるわけではないという、無責任とまで言わずとも腰の引けた態度を取るのには、このような理由があると解したい。

 そうだとすれば、事は、安全保障がらみの汚職と司法介入という視点で捉えられなければならない。これには海外の興味深い事例がある。ベルリンの壁が1989年に落ちる前、

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筆者

河合幹雄

河合幹雄(かわい・みきお) 桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)

1960年、奈良県生まれ。京都大大学院法学研究科で法社会学専攻、博士後期課程認定修了。京都大学法学部助手をへて桐蔭横浜大学へ。法務省矯正局における「矯正処遇に関する政策研究会」委員、警察大学校嘱託教官(特別捜査幹部研修教官)。著書に『安全神話崩壊のパラドックス 治安の法社会学』『日本の殺人』『終身刑の死角』。

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