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東電とゼネコン、癒着の構図

市田隆 朝日新聞編集委員(調査報道担当)

 原発関連施設の用地買収に絡む裏金や、立地自治体首長側への不明朗な融資などの疑惑を、朝日新聞特別報道部の取材班が報じた。裏金や融資で連携した疑いがもたれている東京電力と準大手ゼネコン「西松建設」の関係を解くカギは、巨費が投じられる原発関連工事にある。

 東電内で工事契約を担当し、ゼネコンとの窓口になるのは「資材部」という部門だ。名称からは地味な印象を受けるが、ゼネコンに対する影響力は絶大だ。

 取材で出会った建設会社元幹部によると、資材部出身のある東電役員(現在は退任)が常連客だった東京都内のスナックには、各ゼネコンの部長級以上の幹部が毎晩のように顔を出していたという。そこで会った東電役員と酒を飲み、カラオケを歌って親密になり、東電が発注する工事の情報をとるのが、ゼネコン側の狙いだった。

 東電の発電所などへの設備投資額は年間5千億~7千億円で推移している。原発の増設、新設工事となると、1基だけでも数千億円規模となる。東日本大震災の後に白紙撤回された計画だが、福島第一原発に7、8号機を増設する計画では、「あらゆるゼネコンが受注を希望していた」(資材部元幹部)という。

 一連の疑惑で名前があがった西松建設は、ゼネコン業界で原発工事の「後発組」と位置づけられていた。

 東電元幹部によると、東電の原発工事の受注業者は、福島第一、第二各原発の建設を担当した鹿島などのゼネコンが主力。西松建設は建設当時、水力発電所の工事に力を入れていたため、原発工事では「後発組」の扱いで、新設工事などの元請けの中心になるのが難しい状態だったという。

 東電の本店や各原発に出入りする西松の幹部らは、1990年代から新設工事の受注を目指していることを再三にわたりアピールしていた

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