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フクシマが変えた原水爆禁止世界大会の姿

大久保真紀 朝日新聞編集委員(社会担当)

 3・11をきっかけに、核兵器のない世界を目指す原水爆禁止世界大会の姿が変わりました。特に今年はそれを印象づけるものになりました。

 原水爆禁止世界大会は、最近はずっと、原水爆禁止日本協議会(原水協、共産党系)と原水爆禁止日本国民会議(原水禁、旧総評系)がそれぞれに開いてきました。
 核の平和利用つまり原子力発電に関しては肯定してきた歴史のある原水協が、長崎大会で「核兵器と原発」という原発問題を真正面からとらえる分科会を設けたほか、やや控えめな表現ながら、「『核の被害者をつくらせない』の願いをひとつに、原発の再稼働と輸出に反対し、原発からの脱却と自然エネルギーへの転換を求める運動との連帯をさらに発展させさせましょう」「核兵器と原発との危険な関係や放射能被害の実態について学び、広範な人々に広げましょう」などという文言の入った決議や宣言を採択しました。
 一方の原水禁は、今年は連合と核兵器禁止平和建設国民会議(核禁会議)の3者主催で2005年から毎年開いてきた「平和大会」で、核禁会議とともに主催を降りました。福島第一原発の事故を機に、原発に批判的な原水禁と、原子力の平和利用を掲げる核禁会議の立場の違いが表面化したことが原因です。
 「平和大会」は被爆60年の2005年、核兵器廃絶と被爆者援護を広く訴えようと、連合が旧総評系の原水禁と旧同盟系の核禁会議に呼びかけてスタート。8月6日と9日の直前に、広島市と長崎市の原水禁世界大会と同じ会場で開催し、被爆者の証言を聴くなどしてきました。しかし昨年の平和大会で、原水禁のあいさつに「核と人類は共存できない」との文言が入ったことに、電力総連などが加わる核禁会議が反発し、今年は分裂という形になりました。
 原水禁は脱原発運動に力を入れていますが、

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