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阪神大震災で見えた大切にするものの違い―大阪と兵庫―

菘あつこ フリージャーナリスト

  大阪府生まれで、大学は京都市内、少し東京に住んだことがあり、今、兵庫県に住む私としては、大阪、京都、兵庫は、3つそれぞれ随分違うと思う。だが、関東の友人から見ると、大阪と京都が違う実感はあるようなのだが、大阪と兵庫の違いというとピンと来ていないように見える。甲子園が兵庫県にあるというと「エーっ大阪じゃなかったの?」と言われたり、宝塚歌劇は大阪だと思われていたり……というわけで、今回は京都のことは置いておいて、大阪と兵庫の違いについて思いを巡らせてみたいと思う。

 私が大阪と神戸の間、阪神間と呼ばれる地域に住むようになって10年ほどになる。兵庫県内でありながら関西の中心地・大阪梅田に出るのにJRの新快速に乗ってしまえば15分ほどと、大阪市内に住むのと変わらない上に、神戸に行くのも15分ほどという便利なところに住み始めた当初、大阪と兵庫がこんなに違った文化を持っているとは考えもしなかった。兵庫に住んで驚いた些細なことのひとつは、春になると一斉にスーパーにイカナゴという瀬戸内海で獲れる小魚が大量に売り出されること。それが尋常な量じゃない。1キロパックなど巨大なパックを普通の主婦がいくつも買い物かごに入れる。それを「くぎ煮」と呼ばれる佃煮にするのだ。売り場には、その「くぎ煮」をお裾分けするための容器が親切に、これまた大量に並べられている。大阪ではそんな光景は見たことがないし、想像したこともなかった。聞くと、それぞれ家庭の味があって、お互いに贈り合うのだという。これは兵庫のなかでも瀬戸内側の風習かも知れない。

 その後あらためて気づいたのは、兵庫はとても広いということ。大阪府が47都道府県中46番目の広さという面積の小さな都道府県であるのに対して、兵庫県は日本海と太平洋(瀬戸内海)の両方に接する数少ない面積の広い県。きっと、内陸部や日本海側には、また違った文化があるのだろう。

 そんななか、私が最近、強く感じる違いは、芸術文化に対する行政の姿勢の違い。文化庁の「地方における文化行政について」(平成22年度決算分。今、公表されている最新年度分がこの年度分。http://www.bunka.go.jp/bunka_gyousei/chihou/pdf/h22_gyousei_ver2.pdfの24ページ)によると、文化施設建設費を除いた芸術文化事業費(ハコモノ行政と言われた時代があったが、その反省から施設を建てる建設費以上に、それ以外の事業費に、今、注目すべきだと私は思っている)は、47都道府県中兵庫県が東京都に次いで兵庫県が2位。東京が44億2500万円円強、兵庫が13億6900万円強と差はあるが、他に10億円を超えている道府県はない。そして、大阪はこのリストでは36位。人口の割にはかなり低いと言わざるを得ない。兵庫は兵庫県立芸術文化センター、兵庫県立美術館などで積極的に自主事業を行い、多くの人がその芸術を享受している。

 だが、大阪は・・・やはり、人口の割に不足しているのではないだろうか? 加えて、大阪では「芸術にお金を掛けるくらいなら、もっと経済を」といったことを言う人が多い気がする。もちろん、人は

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筆者

菘あつこ

菘あつこ(すずな・あつこ) フリージャーナリスト

立命館大学産業社会学部卒業。朝日新聞(大阪本社版)、神戸新聞、バレエ専門誌「SWAN MAGAZINE」などに舞踊評やバレエ・ダンス関連記事を中心に執筆、雑誌に社会・文化に関する記事を掲載。文化庁の各事業(芸術祭・アートマネジメント重点支援事業・国際芸術交流支援事業など)、兵庫県芸術奨励賞、芦屋市文化振興審議会等行政の各委員や講師も歴任。著書に『ココロとカラダに効くバレエ』。

 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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