2013年08月23日
毎日のように小、中、高校の教職員の信じられない不祥事がニュースになっている。教員免許更新制が導入されて5年目、果たして教員の資質は向上しているのだろうか。
教員免許が更新制になったことは、新聞やテレビのニュースで見知っていた。しかし、その時期がくれば、車の免許と同様に「更新のお知らせ」が届くと思っていた。ところがどっこい、そんな知らせは一つも届かない。自己管理で維持しなければならないものなのだ。最近わたしはそれで慌てふためいた。
教員免許の証明が必要になって、ためしに所在地の京都府教育委員会に問い合わせてみた。すると、文部科学省に問い合わせるよう教えられ、HPを参照せよとのこと。早速、開いてみると、自分の生まれ年が更新に当たっていたのだ(教員免許の更新は取得年ではなく、生年で判断される)。免許を更新するためには、30時間以上の免許状更新講習を受講しなければならない。その講習は、ゴールデンウィークや夏休み、冬休みの頃に合わせて全国の大学で行われている。わたしが暮らす京都には大学が多いので、教免更新の講座に事欠かないが、いかんせん気付いたのが遅すぎた。各大学の講習が終わった後だったのだ。
大急ぎで文部科学省に電話をかけて窮状を訴えた。しかし、「今はまだ有効ですが、3月31日以降は教壇に立たないでください!」と、けんもほろろ。
教育現場に勤めていて、突然辞めるというわけにはいかない。しかも、現在更新を迫られている年代は、現場では中堅どころである。担当教科のほかに、担任やら役職に就いていて、たまの休みもクラブ顧問で駆り出される始末。学校で頼りにされている先生ほど、がんじ搦めの現状だ。むかしは夏休みが長くて先生は気楽な商売といわれていたが、昨今の教師は土日も出勤している。夏休みである只今も、補習の時間割が組まれ、普通に授業が行われている。夜も晩く9時を過ぎても職員室に教師の姿がある。さらに40代、50代といえば教師に限らず家庭において子どもに手がかかり、介護の親を抱えている人も少なくない。そこへきて、30時間の教免講習は、時間を捻出するだけでもかなり厳しい。暇な(サボりの)教師ならともかく、有能な教師にとっては却って邪魔な制度になっている。
たしか平成19年に教育職員免許法の改正が成立した際には、不適格教員の排除が謳われていたと思うが、いま文科省の資料には「不適格教員の排除を目的としたものではありません」と殊更に明記されている。教育の質を高めることが目的といわれるが、果たして30時間の教免講習でそれがなされるのか。
実際に30時間の免許講習を受けてみて、その疑念はふくらむばかりだ。30時間の内訳は、必須である教育最新事情12時間以上と、教科指導における専門性を高める18時間以上の講習である。高校国語の免許状をもつわたしでいうならば、
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