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全柔連改革に横たわる難題

潮智史 朝日新聞編集委員

 全日本柔道連盟が改革に向けて、ようやく動き出した。公益法人の認定を担当する内閣府から勧告を受けたために、上村春樹前会長を中心にした体制を刷新せざるを得ない状況に追い込まれた末のことだ。

 初めて外部から招かれた会長には、宗岡正二・新日鉄住金会長兼最高経営責任者が就いた。新日鉄は実業団として柔道選手を抱えたパイオニア的存在。柔道界にも強い反発は見られず、むしろ身内に近いという穏やかな反応を示している。
 しかし、宗岡新会長の改革と信頼回復への意気込みは相当なもののようだ。
 父親の影響で子どものころから兄弟とともに道場に通っていたという柔道愛好者。就任会見でも、創始者である嘉納治五郎の名前を挙げて、「教育や礼節の精神といった柔道の原点に戻って、立て直すことが大切」と語った。
 本業を持つ身として、非常勤の会長となるが、東大柔道部に所属した経歴を生かして、実動部隊はよく知る大学の後輩で固めた。
 近石康宏・元大阪府警本部長を専務理事に、宇野博昌・全柔連広報委員長を事務局長にそれぞれ据えた。執行部としては、これに副会長の山下泰裕・東海大副学長が加わることになるが、会長を含めた4人の信頼関係が築けるかどうかが、今後の改革路線の正否に関わってくるだろう。
 とくに、柔道界の代表として全柔連に残った山下副会長が古いしがらみに捕らわれることなく、振る舞えるのか。それを会長ら3人が支えることができるのかが極めて重要になってくる。
 改革への具体的な取り組みは年内に煮詰めていくことになりそうだ。組織改革を含めて、体裁を整えた上での改革は粛々と進んでいくと予想できるが、時間のかかる問題として懸念されることが二つある。
ひとつは全柔連全体の意識改革の問題である。
 外部とはいえ、実業団柔道関係の企業トップを迎えたことで、全柔連内部には「これで改革は大丈夫だろう」といった安心感が流れている。それは裏返せば、 ・・・ログインして読む
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筆者

潮智史

潮智史(うしお・さとし) 朝日新聞編集委員

朝日新聞編集委員。1964年生まれ。87年入社。宇都宮支局、運動部、社会部、ヨーロッパ総局(ロンドン駐在)などを経て現職。サッカーを中心にテニス、ゴルフ、体操などを取材。サッカーW杯は米国、フランス、日韓、ドイツ、南アフリカ、ブラジルと6大会続けて現地取材。五輪は00年シドニー、08年北京、12年ロンドンを担当。著書に『指揮官 岡田武史』『日本代表監督論』。

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