2013年09月24日
この秋、関東などで竜巻が相次いで発生、各地に被害をもたらした。気象現象が年々、極端化するのに伴い、竜巻の発生頻度が高くなるという警告は数年前から専門家の間で出されていた。しかし気象庁が5年前から始めた竜巻注意情報は的中率が低く、事前警告の役割を果たしていない。もっと「使える予報」を出せないのか。さらに大きな被害が出る前に、一刻も早い改善が必要だ。
「アメリカでは竜巻が発生する可能性があると観測されれば25%の確率で実際に発生する。一方、日本では竜巻注意情報の的中率が5%。これは都道府県に出される注意情報なので単純には比較できないが、なぜ5%なのか、究明する必要がある」
東京大学大気海洋研究所の新野宏所長は厳しく指摘する。新野氏は気象庁の竜巻等突風予測情報改善検討会の座長も務めた竜巻研究の第一人者である。
確度が低くて、遅い――。これが日本の竜巻注意情報の実態だ。
埼玉、千葉両県を襲った9月2日の竜巻の場合、気象庁が埼玉県と千葉県に竜巻注意情報を発表したのは2日午後2時11分。その6分前の午後2時5分、すでに竜巻は目撃されていた。
注意情報は、住民の避難に間に合わなかったのである。
竜巻はドップラーレーダーの波長で空気の渦「メソサイクロン」をとらえることで発生を予測する。メソサイクロンは巨大な積乱雲「スーパーセル」の中にでき、竜巻を発生させる。その可能性を過去のデータをもとにした統計的手法などを使って判定するのだ。
新野氏によると、このやり方は基本的に日米ともに同じだ。観測のかなめとなるドップラーレーダーを、日本はここ数年で急ピッチで導入し、すでに全国に20基を配備し、観測網を整えた。設備面の遜色はないはずだ。にもかかわらず日本の場合、的中率が低いのはどうしてなのか。
気象庁の防災企画調整官は
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