2013年10月28日
残暑厳しい9月2日、あるレストランの電話は鳴り止まなかった。その名は『ロオジエ』。日本を代表するフレンチレストランの雄が、2年7ヶ月の空白を経て10月25日に再オープンするのだが、9月2日はその予約受け付けの開始日だった。
東京では、毎年、いや毎月毎週、あまたのレストランがオープンする。そんな状況の中、2年半以上の時を待ち焦がれられていた店……それは、ひとつの奇跡と言ってよいだろう。母体となる資生堂の銀座ビルの完成とともに誕生する、新生ロオジエ。並々ならぬ期待を、当事者たちはどう受け止めているのだろうか。
「“いつも誠実であれ”、“いつも一生懸命であれ”。これは長年、ロオジエをリードしてきた元シェフ・ジャック・ボリーより言われ続けてきた言葉です。私たちは、今までもこれからも、そうやっていくだけなんだと思います」と、支配人・内堀泰彦氏は言う。20年ロオジエと共に歩んできた彼は、サービスの長でもあり店の顔ともいえる存在だ。
「11名のサービス、3名のソムリエのうち6名が前からいるメンバーで、8名が新人です。ベテランばかりで構成すれば、安定感は増すでしょう。しかし、それでは店に新しい風が吹きません。キャリアがないということは確かに不安材料ですが、それでも(店に)新人が欲しかった。稚拙なところはベテランがリカバーすればよいのです。店づくりは、目先のことだけでなく、長い先まで考えていかなければ……。とはいえ、未熟な状態で再オープンするわけにはいきません。プロとして、10月25日が100%でなければいけないのは当然です」
世の中には、二種類の店がある。
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