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伝説の店・ロオジエ復活が教える本物の復権

田中敏恵 文筆家

 残暑厳しい9月2日、あるレストランの電話は鳴り止まなかった。その名は『ロオジエ』。日本を代表するフレンチレストランの雄が、2年7ヶ月の空白を経て10月25日に再オープンするのだが、9月2日はその予約受け付けの開始日だった。

 東京では、毎年、いや毎月毎週、あまたのレストランがオープンする。そんな状況の中、2年半以上の時を待ち焦がれられていた店……それは、ひとつの奇跡と言ってよいだろう。母体となる資生堂の銀座ビルの完成とともに誕生する、新生ロオジエ。並々ならぬ期待を、当事者たちはどう受け止めているのだろうか。
 「“いつも誠実であれ”、“いつも一生懸命であれ”。これは長年、ロオジエをリードしてきた元シェフ・ジャック・ボリーより言われ続けてきた言葉です。私たちは、今までもこれからも、そうやっていくだけなんだと思います」と、支配人・内堀泰彦氏は言う。20年ロオジエと共に歩んできた彼は、サービスの長でもあり店の顔ともいえる存在だ。
 「11名のサービス、3名のソムリエのうち6名が前からいるメンバーで、8名が新人です。ベテランばかりで構成すれば、安定感は増すでしょう。しかし、それでは店に新しい風が吹きません。キャリアがないということは確かに不安材料ですが、それでも(店に)新人が欲しかった。稚拙なところはベテランがリカバーすればよいのです。店づくりは、目先のことだけでなく、長い先まで考えていかなければ……。とはいえ、未熟な状態で再オープンするわけにはいきません。プロとして、10月25日が100%でなければいけないのは当然です」
 世の中には、二種類の店がある。

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筆者

田中敏恵

田中敏恵(たなか・としえ) 文筆家

1969年生まれ。文芸誌編集を経てフリーランスに。文芸、食、旅、建築などライフスタイル分野の記事や、国内外で活躍する著名人たちへのインタビューを雑誌や新聞に寄稿。2006年より取材を開始したブータン王国に関する講演活動も行う。著書に『ブータン王室はなぜこんなに愛されるのか~心の中に龍を育てる王国のすべて』、共著に『未踏 あら輝~日本一予約の取れない鮨屋』。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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