団藤保晴(ネット・ジャーナリスト)
2013年12月13日
文部科学省が11月に公表した国立大学改革プランについて、メディア報道の一知半解ぶりに唖然とさせられた。年俸制導入という小手先の施策を大手メディア横並びで伝えるだけであり、歓迎しているかのようだ。無理矢理の人件費削減を目指す文科官僚の意図を見抜く能力も無ければ、これから国立大学で起きる改革と称した惨事を予測する分析力も無い。福島原発事故で「大本営発表」報道と批判されたのに、各社教育担当記者には他人事だったようだ。
朝日新聞の《国立大教員に年俸制 文科省、競争を導入・退職金廃止》はまず《国立大学の教員の給与について、文部科学省は、年功序列を改めて退職金を廃止し、業績を反映させる年俸制への転換を進める方針を決めた。「競争がなく、ぬるま湯体質だ」との批判もある国立大の組織全体の活性化を進めるのが狙い》とする。
《勤続年数が長い教授らも終身雇用を維持しつつ年俸制への転換を進める。退職金を廃止する分、毎年一定額を従来の給与に上積みするが、一方で、以後の年俸は査定を反映させる。優れた研究や教育を進めた教員は年俸が大幅にアップする一方、ほとんど論文発表がないような教員はダウンもあり得る。退職金廃止で帰属意識が薄まり、大学間の転籍が進んで全体の活性化も見込めるという》
能力主義導入で良い面ばかり言うが、国立大全体の人件費総枠は変えない。いや、過去10年でその財源「運営費交付金」は13%も削減されて、大学運営は「かつかつ」以下になっている。さらに2013年で1兆792億円の運営費交付金の内4000億円程度を、年俸制を推進する大学に重点配分する方針が打ち出された。東大・京大など旧七帝大を中心にトップレベルの研究に取り組む大学で年俸制を推進すると明言されているから、
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