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育成の在り方を問いかける初優勝~高校サッカー選手権

潮智史 朝日新聞編集委員

 92回目の全国高校サッカー選手権は初もの尽くしの決勝となった。

 富山第一も星稜(石川)も決勝進出は初めてで、それぞれの県代表校がタイトルを争う舞台に駒を進めたことは過去になかった。当然、優勝も初めてだし、北信越にエリアを広げても優勝旗が渡ることは初めてだった。

 ちなみに今大会を含めた最近の10年をたどってみると、2004年度の鹿児島実、2011年度の市船橋(千葉)を除く8チームは初優勝校。各地の取り組みや指導者、サッカー関係者の努力によって底上げと普及が進み、地域間の差は急速に小さくなっていることが今回も示された。

 Jリーグがスタートして20年。各クラブに年代別の育成組織(アカデミー)を義務づけたことで、例えば高校年代のトップクラスの選手はプロへの近道としてJクラブのアカデミーを第1の選択肢ととらえるようになった。
中学を卒業するときにまず目指すのは、Jクラブのユースチームで、そこに入れない選手が強豪の高校チームに進むため、高校側が危機感や不満を募らせてきた。高校の指導者の間からは、「いい選手を取っていって、つぶしている」という批判がいまもよく聞かれる。

 では、高校のレベルは本当に低くいのか、というとそう単純な話ではない。富山第一が0―2と

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筆者

潮智史

潮智史(うしお・さとし) 朝日新聞編集委員

朝日新聞編集委員。1964年生まれ。87年入社。宇都宮支局、運動部、社会部、ヨーロッパ総局(ロンドン駐在)などを経て現職。サッカーを中心にテニス、ゴルフ、体操などを取材。サッカーW杯は米国、フランス、日韓、ドイツ、南アフリカ、ブラジルと6大会続けて現地取材。五輪は00年シドニー、08年北京、12年ロンドンを担当。著書に『指揮官 岡田武史』『日本代表監督論』。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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