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原発再稼働を目指す政官電の関係

市田隆 朝日新聞編集委員(調査報道担当)

 朝日新聞で展開している連載記事「原発利権を追う」の中で今年1月、原発再稼働を訴える甘利明経済再生相と電力業界の隠された関係について報じた。

 東京電力、関西電力など、原発を持つ9電力会社が2006年以降、甘利氏のパーティー券を水面下で分担購入していたことが取材で判明した。9社で1回あたり約100万円分のパーティー券を分担し、平均的な年間購入額は数百万円とみられる。東電は2011年の原発事故後にやめたが、他の8社は購入を続けてきたという。

 電力各社には、政治家との資金関係が表面化するのを非常に嫌う意識がある。東電元役員は「政治家と公的な企業につながりがあるというだけで、良からぬ見方をされる」と話していた。このため、各社の1回あたりのパーティー券購入額は、政治資金規正法上の報告義務がない20万円以下に抑えていた。法律の抜け道を利用し、電力各社が団結して甘利氏を支えている構図を国民に気づかせないようにしていた。

 このケースは、電力と政治の密着を示す事例の一端に過ぎない。「電力一家」として原子力を推進してきた9電力は、政界と親密な関係を維持するため、長年にわたり様々な配慮をしてきた。

 朝日新聞の取材班がこれまでに把握している両者の関係で、重要なキーワードは「朝食会」だ。

 9電力の役員は、業界団体「電気事業連合会(電事連)」主催の朝食会に参加し、自民党議員数十人と顔合わせしたうえ、担当議員を分担し、選挙協力や料亭での飲食接待などを行っていた。こうした工作は1990年代に盛んに行われ、顔合わせの朝食会は近年も続いていたという。

 電事連主催の朝食会は、東京都内のホテルを会場に2~3カ月に1回の

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