団藤保晴(ネット・ジャーナリスト)
2014年03月20日
日本の若者内向き説の根拠である米国留学の減少が別の要因で起きていると考えられる。中韓両国の若者は壮絶な国内就職難から米国留学を強く志向し、結果として日本の若者が割りを食っているのが実態ではないか。
2007年から2011年にかけて各国の留学先がどう変動したか、グラフにして見ると浮かび上がる「新事実」だ。21世紀に入ってからの留学の大波は大規模な頭脳移動に見え、留学先がOECD諸国に限った集計では2000年の158万人が2011年に331万人にもなった。
しかし、留学先国で満足がいく就職をして残れるのは限られた層でしかなく、留学大膨張の先頭に立っていた中国は今、留学生帰国ラッシュと国内大学の乱造による学卒者の氾濫に直面している。
まず文部科学省が出している「日本人の海外留学状況」から海外留学者数の推移グラフを引用しておく。2004年をピークに減り続けている。日本の留学は米国が半分以上、次いで中国が大きくて、英国、ドイツなど欧州、オーストラリア、台湾などアジア・オセアニアはぐっと数が減る。実は留学生を大きく減らしたのは米国向けで、他国向けは横ばいか、多少の増減に留まっている。
この減少傾向を論拠にして「日本の若者は内向きだ」と、国内メディアばかりでなく海外発の報道やOECDなど国際機関の報告書にまで書かれるようになった。確かに大学など高等教育機関に在籍する日本人で海外に出ている割合は1%と、OECD諸国では最も少ない方だ。しかし、
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