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「新宿ダンジョン」 ソーシャルゲーム時代に消えゆくゲームに再会した

岡田有花 ライター

 ここ数年、「ソーシャルゲーム」と呼ばれるスマートフォン向けゲームが大流行している。一番人気の「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)は、2400万ダウンロード超えという途方もない数字をたたき出し、運営元のガンホー・オンライン・エンターテイメントは莫大な利益を稼ぎ出している。

 「パズドラ」をはじめとしたソーシャルゲームは、筆者もいろいろ遊んできた。メッセンジャーアプリ「LINE」と連携したパズルゲーム「LINE POP」や、クイズゲーム「魔法使いと黒猫のウィズ」、世界で人気のパズルゲーム「キャンディクラッシュサーガ」などだ。

 これらのゲームには共通点がいくつかある。まず、基本プレイが無料で、ゲームの難易度も低く、間口が広いこと。遊び始めに丁寧なガイダンスがあり、簡単に遊び始められること。一度のプレイ時間が数分程度と短く設計されていること、敵をバタバタ倒したり、パズルのピースをどんどん消せるなど、遊びながら気持ち良くなれる、快楽を得られるように設計されていることだ。

 一方で、「イライラ」させる仕組みも備えている。しばらく連続して遊ぶと、プレイに必要なポイントが不足する。続きを遊ぶにはお金を払ってポイントを買うか、数十分、数時間など時間が経ってポイントが貯まるのを待つ必要がある。

 筆者は、これらのゲームを遊びながら「まるで麻薬のようだ」と感じていた。遊んでいて気持ちがいいので「もっと、もっと」と快楽を求めてゲームを進めていく。すると突然、遊べなくなり、「気持ちいい」が止まってしまう。たまらなくなってお金を払うか、時間が経つのをじりじりと待ち、続きを遊ぶ……。ゲームが提供する快楽に依存してしまっている自分を感じ、恐ろしさを覚えていた。

 以前――10年、20年前に「ファミコン」や「プレイステーション」で遊んでいたゲームは、それとは違うものだった。ゲームの入り口はもう少しハードルが高くて、いきなり大量の快楽を得られたりはしなかった。

 例えば「スーパーマリオブラザーズ」の最初の面で、突然やってくるクリボーにぶつかって即死したりもした。「ドラゴンクエスト」シリーズでは、広大なフィールドのどこに行けばいいか分からず途方に暮れた。何度も失敗し、ほかのやり方を試し、工夫して苦労して乗り越えた先にうまくいったとき、大きな達成感があった。それはソーシャルゲームで得られる大量の快楽とはまた、異質のものだった。

 どちらが良い、どちらが悪いという話ではない。ただ筆者は、じっくり遊んで達成感を得る家庭用ゲームで育った世代なので、そういったゲームへのノスタルジーは大きかった。一方で、スマートフォン用の無料ゲームにそういった仕組みが採用できないことは分かっていた。遊び初めてすぐに快楽が得られないとプレイヤーは別のアプリに逃げてしまうし、飢餓感をあおらないとお金を使ってくれない。基本プレイ無料・アイテム課金制という構造上、仕方がないことだ。

 だが、最近遊んだゲームで、久しぶりに「昔のゲーム」の感覚を取り戻した。「新宿ダンジョン」というゲームだ。その複雑で広大な構造から、

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筆者

岡田有花

岡田有花(おかだ・ゆか) ライター

ライター。1978年生まれ。京都大学教育学部卒。IT系ニュースサイトITmediaの記者、Webベンチャーnanapiの編集者を経てフリーランス記者。インターネットが人間や社会をどう変えるかに興味を持ち、Web・IT分野を中心に取材、執筆している。作家発の電子書籍「AiR」、Web女子サークル「久谷女子」に参加。著書に『ネットで人生、変わりましたか?』

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