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籾井NHK会長の暴走が始まった

川本裕司 朝日新聞社会部記者

 「このままでは公共放送は持たない」。籾井勝人NHK会長に就任した1月25日に理事10人全員から辞表を提出させたことが明るみに出て間もない2月末、NHKのある幹部は言い切った。

 就任会見での問題発言を追及され、籾井会長は連日、国会に呼ばれていた。NHKを運営するために2014年度予算を3月中の国会成立が欠かせない。そのために、役員、職員とも汗を流す。しかし、この幹部は「会長を支えるつもりはないが、視聴者に対する責任はある。目の前のことに対応するだけ」と話した。会長に対する人心は、すでに離れている。

 予算が国会で審議中だった3月10日、異例の人事異動が発表された。大槻悟・秘書室長を人事局主幹とし、後任に湧川高史・経営企画局副部長を17日付で充てた。籾井会長の主導による人事だった。国会審議で籾井会長に答弁資料やメモを渡してきた元経済部記者の湧川氏は経営企画局の渉外担当のナンバー3の部長級。局長級の秘書室長に特進となった。湧川氏の後任はなく、異動後も答弁資料渡しを続けた。

 一方、報道番組の制作者だった大槻氏は「気骨がある」「正義感が強い」と評されてきた。4月3日の定例記者会見で籾井会長は「適材適所というだけです」と述べたが、事実上の更迭と受け止められている。「大槻氏の言い方がストレートだった」という見方もあるが、あるNHK関係者は「過去に取り上げられたことがあるから、会長に『ゴルフのときは会長車は使わないようにしてください』と、常識的なことを言っていただなのに。事前の話で、実際にはゴルフには使われなかったようだが」と啞然としていた。

 人事では副会長に堂元光NHKプラネット専務を2月12日に選んだ。理事や関連会社トップからの起用ではなかったのも珍しいケースだった。政治部長、報道局長、大阪放送局長を歴任した堂元氏は海老沢勝二・元NHK会長と政治部員になる以前からの知り合いだった、と関係者は指摘している。政治部長や報道局長は諸星衛・元NHK理事の後を継いでいる。局内では海老沢派だったと目されている。

 堂元氏は就任時の記者会見で「海老沢会長をどう見ていたか」「諸星氏と相談したか」という質問に

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを経て、19年5月から大阪社会部。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

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