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からだとハートの強さ、修正能力見せた日本のエース

松瀬学 ノンフィクションライター

 いやはや驚いた。大したものだ。7年総額1億5500万ドル(約161億円)という大型契約でヤンキースに移籍した田中将大投手が、大リーグデビュー戦で額面通りのピッチングを見せた。感心したのは、「からだとハートの強さ」と「修正能力」である。

 環境は激変した。生活リズムもちがう。英語だって、まだ満足に話せないだろう。登板前日、ヒューストンからトロントに飛行機で移動した。時差が1時間、ざっと2千数百キロ。距離にすると、稚内から那覇に相当する。

 マウンドの硬さも傾斜も、気候も日本とはちがう。ボールも滑りやすい。球団やファンの期待も大きく、さぞ重圧も大きかったにちがいない。人間だもの、緊張するにきまっている。その状況で、ブルージェイズ相手に7イニングを投げ、6安打3失点(自責2)で初勝利を挙げた。

 全部で97球。個人的には、球数と四死球ゼロというのがいい。打線にリズムも生まれるからだ。大リーグで「クオリティスタート」といわれる「先発で6イニング、自責点3以下」をクリアした。上々のスタート、いや最高のスタートといってもいいのではないか。

 先頭打者にいきなりホームランを打たれた。甘いスプリットだった。大リーグではボールが甘く入るとスタンドに運ばれる。2回には3安打とエラーで、2点を失った。ここまでで38球だった。多すぎる。

 決して調子はよくはなかっただろう。でも、ここで崩れなかった。なぜか。田中投手の経験ゆえである。ハートの強さゆえである。日本の実績はダテではない。考え、投球パターンを変えた。修正能力を発揮し、変化球主体からストレート系主体に変えた。約150キロの速球と、微妙に変化するツーシームで打者を追い込む。落ちるスプリット。結局、奪った三振は8個を数えた。

 スプリットは最近、ひじに負担が大きいということで大リーグでは投げる投手が減っている。でも田中投手は「おしり」が大きい。下半身がしっかりしている。からだ全体で投げるから、ひじにはそう負担がかかることもないだろう。

 ついでにいえば、田中投手はつくづく ・・・ログインして読む
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筆者

松瀬学

松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター

ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。

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