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成功の秘訣は裸の付き合い!?田中投手に必要なこととは

久保田智子 アナウンサー

 田中将大投手のデビュー戦についての報道は、テレビも、新聞も、かなり手厚かった。

 球場内の撮影が制限されるテレビはスポーツバーを取材して「ゴー、タナカー」なんていうアメリカ人の雄叫びを紹介し、新聞では「田中は本物だ」「全米がうなる」などと田中投手の活躍に惜しみない賛辞をおくっていた。ではアメリカでの報道はどうだったのか。ニューヨーク・タイムズの記事を検索してみると、見出しに『初めはロックだったが、リズムに乗って、ヤンキースを勝利へ盛り上げた』とあった。出だしの不調をロックに例えるなんて、なかなかオシャレだなと感心し、記者の名前をみてやっぱりと思った。デビッド・ウォルドスタイン氏だ。

 2月までニューヨーク支局にいた私は、帰任前の最後の仕事が田中投手のキャンプ取材だった。快晴で風の強かったフロリダ州タンパでのキャンプイン初日、私に片言の日本語で話しかけてきた記者がいた。

 「ワタシノ、ナマエハ、デブ、デス」見上げるような身長に、大きなお腹、確かにデブとよんでもおかしくない男性だった。困惑する私の表情に間違えたと気付いたのか、もう一度「ワタシノ、ナマエハ、デビッド、デス」といって顔を不安そうに近づけてくる。体の大きさの割に童顔で人懐っこい表情だった。

 デビッド記者は長年ヤンキースを取材し続ける名物記者である。なぜ日本語を学んでいるのかというと、田中投手に直接話しかけて、生の声を取材したいからだという。アメリカらしいなと思った。選手に直接取材をするのは至極当たり前のことだが、日本メディアのスポーツ取材では必ずしもそうはなっていないように感じることが多い。

 アメリカでは選手のロッカールームが解放され、記者が自由に出入りできるようになっている。着替えの最中に記者は直接選手へ話しかけ取材をする。あまりのオープンさに初めてロッカールームに入った時、私は戸惑ってしまった。シャワールームから出てくる選手は素っ裸で歩いていて、仰天した私は顔を背け、場所を移動したのだが、今度はトイレのゾーンに迷い込んでしまい、そこではスッポンポンの男性数人が

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