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日本競泳の若手エース萩野の収穫と課題

松瀬学 ノンフィクションライター

 日本競泳界のエースが輝きを増している。まだ19歳の萩野公介(東洋大)。閉幕した日本選手権では、6種目に挑戦して4冠を達成、5種目で自己ベストを更新(日本新は2つ)した。背泳ぎ2種目では入江陵介(イトマン東進)にタイトルを譲ったけれど、確実に力がついていることを示した。

 「終わったぁ~」。最終日。最後の200メートル背泳ぎ決勝が終わると、萩野はこう、声を発した。自己ベストの2位。コトバに充足感がにじむ。

 「充実した4日間だったと思います。去年より、満足できます。悔しい部分も、やり遂げた部分もあります。夏にうまくつながったという意味で、とりえず終わったかナという感じです」

 ミックスゾーンで、「大会の収穫は?」と聞けば、萩野はこう答えた。

 「(初日の)400M個人メドレーの最後の自由形で粘れなかったのが一番の収穫かなと思います」

 「課題」と聞き間違われたのかなと思ったら、「課題が一番の収穫だと思います」と言うのだ。この意識の高さ、向上心はどうだろう。いやはや大したものである。

 「だって、課題が見つからなかったら、次は何を練習したらいいのかわからないですから。課題が見つかって、それを解決していけば必然とタイムが上がるんです。うれしい以外の何ものでもありません」

 高校3年生で臨んだロンドン五輪の400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得し、昨年の日本選手権では史上初の5冠を達成

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筆者

松瀬学

松瀬学(まつせ・まなぶ) ノンフィクションライター

ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、早大卒業後、共同通信社入社。運動部記者としてプロ野球、大相撲、オリンピックなどを担当。02年に退社。人物モノ、五輪モノを得意とする。著書に『汚れた金メダル』(ミズノスポーツライター賞受賞)、『早稲田ラグビー再生プロジェクト』、『武骨なカッパ 藤本隆宏』。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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