2014年04月18日
数年前、あるアイスショーに彼がゲスト出演したにもかかわらず、客席を満員にできなかったことがあった。当時、ゲストが浅田真央や高橋大輔、プルシェンコなどだったら、間違いなくチケットは飛ぶように売れていた、そんな状況だ。
空いた客席を見た羽生結弦は、「自分がお客さんを呼べなくてすみません……」と、ショーの興行主に謝ったという。自分が何のためにそこに呼ばれているかを、彼は考え、自分ではその役割を担い切れなかったことを、如実に感じたのだ。そんなふうに羽生は、様々なことを考えもする。
日本スケート界の宝であり、日本の宝である羽生結弦。彼ひとりにそんな苦しみを背負わせてしまって、いいのだろうか?
羽生結弦にとって、またこれからの日本のスケート界にとって、必要なものは何か?
それは、彼のライバルだ。
ここで本稿1回目(「羽生結弦は浅田真央になれるか(1)――修正した『行方不明』のジャンプ」)の彼の言葉を振り返ってみたい。
「僕が一番好きだったプルシェンコは、ヤグディンと戦ってたころのプルシェンコ」
「僕にもそういうライバルが、絶対に現れるはずです。競ってくれるライバルがいなかったら、僕はスケートが好きではいられない」
先の世界選手権では、羽生の手強いライバルとして町田樹が高らかに名乗りを上げたが、「羽生結弦を倒す男」は、もちろん彼だけではない。世界のライバルとして、パトリック・チャン(カナダ)、デニス・テン(カザフスタン)、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)……いやいや、ここはやはり国内から、どんどん出てきてほしいところだ。
羽生と同い年の、田中刑事、日野龍樹。さらに
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